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2013 Fiscal Year Research-status Report

『初期英国演劇記録』分析による英国劇団史研究

Research Project

Project/Area Number 25370286
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

太田 一昭  九州大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (10123803)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
KeywordsREED / 旅役者 / 地方巡業 / 劇団 / ケンブリッジ / オクスフォード / ヨーク / 支払記録
Research Abstract

下記の地域について、大学及び町あるいは市の対職業劇団支払い記録、上演許可あるいは禁止記録、退去命令記録等を調査した。調査結果は下記の通りである
(1)ケンブリッジ:ケンブリッジ大学とケンブリッジ町とでは、劇団に対する姿勢が異なる。大学は、劇団の上演を禁止あるいは劇団に退去命令を発することが多かった。これに対してケンブリッジ町は、劇団に対して比較的寛大であった。1580年代から90年代にかけて対劇団支払い記録だけでなく、ギルドホール等での上演記録も散見することから、上演が行われたのであろうと思われる。1600年から1642年までは職業劇団の上演記録はほとんど見えないが、大学による禁令が発せられていることから逆に、劇団がケンブリッジを訪れることは続いていたのだろうと推測される。
(2)オクスフォード:オクスフォード大学の旅役者に対する姿勢は、ケンブリッジ大学と同様に禁圧的である。オクスフォード大学は1584年、大衆演劇の禁令を発する。以後、上演禁止令とセットになった退去料支払いが常態化していったようである。演劇に敵対的な大学に対して、オクスフォード市は劇団の演劇活動に比較的寛大であった。市の対劇団支払い記録は16世紀の記録に多数見出せるが、1610年代末以降の市の記録には対劇団支払い記録は見えない。しかし後年まで役者たちが市を訪れていたことは、トマス・クロスフィールドの日記等の史料により確実である。
(3)ヨーク:ヨーク市の支払い記録の多くは、役者と他の芸人とを区別していない。役者を吟遊楽人や熊芸人その他の「貴人の従僕」と一括りにして、年間の支払い額を記している。芸人に対する支払い額には年代による有意の差は見られず、芸人たちのステイタスに変化があったかどうかは支払い記録から判断することはできないが、時代が下がるにつれて市は大衆演劇の上演を禁止することが多くなっているように見える。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

本研究の目的は、初期英国演劇記録(Records of Early English Drama、以下REEDと略記)に収載された、英国各地に残る演劇関係一次資料(旅役者・旅芸人に対する公演料支払、公演許可、公演禁止・退去命令記録、等々)の演劇関係資料を解析することによって、16世紀中葉から1642年の劇場閉鎖時までの職業劇団の活動の全体像を明らかにすることである。平成25年度は14の地域の調査を記録・分析し、一部については資料集刊行の予定であったが、記録の調査に多くの時間を費やし、ケンブリッジ、オクスフォード、ヨークの資料の調査・整理を行うに留まり、資料集の刊行と記録の分析に基づく論考の執筆には至らなかった。

Strategy for Future Research Activity

(1)REEDの地方演劇関係資料の調査・整理と分析作業を進め、25年度末までに終了予定であった14の地域の資料収集作業を完了し、さらに複数の地域の調査を進め、26年度末までに、15~20地域の資料集を刊行することをめざす。
(2)REED資料集は浩瀚な資料集である。当初の計画はやや過重であったと思われるので、計画を多少修正し、26年度は初期英国演劇研究に裨益する資料集の完成を最優先し、論考の執筆と刊行は本研究最終年度の平成27年度に完了することを目標とする。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

夏季休暇期間中の平成25年9月に、連合王国で研究調査を行う予定であったが、都合により出張を行うことができなかったから。
平成26年9月、あるいは平成27年3月に、連合王国にて研究調査を行う予定であり、平成25年度未使用額を、これに充当する予定である。

URL: 

Published: 2015-05-28  

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