2015 Fiscal Year Annual Research Report
1920年代アフリカ系アメリカ女性作家による抵抗の言語行為とその継承
Project/Area Number |
25370293
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
鵜殿 悦子 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (00128638)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 英米文学 / アフリカ系アメリカ文学 / ハーレム・ルネサンス / 物語の枠組み / 語りの構造 / ジェンダー/セクシュアリティ / 人種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、平成24年までの科研費研究で明らかになった点(トニ・モリスン文学とハーレム・ルネサンス期アフリカ系アメリカ文学の修辞的関係)を基礎として、1920年代のアフリカ系アメリカ女性作家の文学とモリスンら現代アフリカ系アメリカ女性作家の文学とのインターフェイスを探ることにある。とりわけジェシー・フォーセット、ゾラ・ニール・ハーストン、ネラ・ラーセンの文学テクストに新たな光を当て、現代文学テクストとの比較・対照のうちに相互の共鳴関係を掘り下げようとした。検証に際してはポストコロニアル批評の分析手法を援用して過去の文学作品群の再検討を行い、現代アフリカ系アメリカ文学への継承・影響関係を考察しようとした。 25年度には、シュチェチンで開催された国際アメリカ学会第6回大会において、"Trans-Atlantic Textual Exchange: Nella Larsen's 'Sanctuary' and Sheila Kaye-Smith's 'Mrs. Adis'"と題する研究発表を行った。加えて、ニューヨークで実地調査を行い、ニューヨーク公立図書館等で資料調査を行った。26年度には、研究文献の読込みを進め、共著『エスニック研究のフロンティア』に論文を寄稿した。 27年度には、単著『トニ・モリスンの小説』を出版し、そこに本研究の成果を盛り込んだ。また、共編著書『新たなるアフリカ系アメリカ文学研究(仮)』に所収する予定の論文を執筆した。文献の読込みを進めた結果、「ハーレム・ルネサンス」という概念枠組みに当時の黒人女性作家たちが包含され得るのかどうか、そうだとしたらどの作家、どの作品が該当するのかを特定する必要があると考えるようになった。そのため、研究の道筋を多少変更せざるをえないことを確信し、本研究を当初の予定より1年前に終了させ、次なる研究課題へと繋げることとした。
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