2014 Fiscal Year Research-status Report
抵抗とトリック―カリブ海地域の文学におけるAnancy Storiesの系譜
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25370312
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
岩瀬 由佳 東洋大学, 社会学部, 准教授 (60595411)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Anancy Stories / Louise Bennett / Erna Brodber / Pauline Melville / カリブ海地域の文学 / アフリカ系女性作家 / コロニアリズム・ポストコロニアリズム / ジェンダー研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究成果の第一弾として、平成26年5月24日北海道大学で開催された第86回日本英文学会において「Anancy Storiesの系譜―Erna BrodberとPauline Melville作品にみるその影響とトリック」という題目で学会発表を行った。アフリカから強制連行された黒人奴隷たちによって数世紀にわたりカリブ海地域を中心に語り継がれてきたAnancy Stories の歴史的背景を追いながら、特にAnancy Storiesの重要性を広く再認識させるうえで大きな役割を果たしたと考えられるLouise Bennettの功績を明確にした。Erna BrodberのJane and Louise Will Come Soon Home(1980)にBennettの影響が色濃く反映されていることを論証できた点は、今年度の研究成果の大きな一つであると考える。また、旧ガイアナ出身でイギリス移民作家であるPauline MelvilleのShape-shifter(1990)におけるAnancy Storiesの変容のかたちと比較することによって、BrodberとMelville作品のなかでAnancy Storiesがいかに効果的に作用しているか、作家の創造性を押し広げ、反コロニアリズムのモチーフとして機能しているかという点に関しても明らかにすることができた。学会発表の聴衆者からは、好意的な意見を頂くことができ、建設的な意見を得ることができた。この学会発表をベースに学会論文誌への投稿論文を執筆中である。 さらに研究を深めるために、また様々な研究者との意見交流を目的に平成26年6月30日から7月7日の日程で、イギリス、グラスゴー大学で開催されたSociety for Caribbean Studiesの国際学会に参加できたことは、非常に刺激的で、今までにない豊かな経験であった。朝から晩まで議論を交わすという非常に有意義な時間を過ごすことができた。そこから新たな展望や問題点が明らかになり、今後の研究活動への良質な糧が得られたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アフリカ系女性作家の作品、とくにErna Brodber(ジャマイカ)出身、Pauline Melville(ガイアナ出身)の作品のなかにAnancy Stories、およびその変形バージョンが巧みに織り込まれており、作品分析を正確に行ううえで非常に大きな鍵であることは論証できているが、その鍵の分析に関して時間が取られてしまい、アフリカ系の男性作家の作品分析にまでなかなか至らずにいることが、その理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
アフリカ系カリブ女性作家の作品へのアプローチは進んでいるが、男性作家およびその作品についてはまだ資料収集が必要であり、更なる研究考察が不可欠だと考えている。世界的にみても研究者が少ない分野であり、未発掘の資料の検索、分析が必要だと思われる。海外の主要図書館(British Library等)、データベースをもう一度丹念に調べて資料収集を行いたい。
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Research Products
(3 results)