2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25370318
|
Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
栂 正行 中京大学, 国際教養学部, 教授 (10163958)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ナイポール / アーナンド / ナラヤン / ラオ / シン / 記憶 / バックグラウンド / 移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、18世紀以降のイギリス近代小説と明治時代以降の日本近代小説に関する研究成果を踏まえ、インドの英語小説における職業表象、職業観を研究した。研究期間中3年間の焦点を、インド英語小説、なかでも職業に焦点を当てた作品を複数発表したムルク・ラジ・アーナンド、職業への洞察を展開したR・K・ナラヤン、職業と独特の距離感をとるラジャ・ラオ、歴史的絵巻のなかにさまざまな職業人を配するクシュワント・シン、旧植民地に生活する職業観を持つにいたらぬ人々を描くV・S・ナイポール、その弟である種の直観を持って、職業、さらには職業の背後の人間を見抜くシヴァ・ナイポール、さらに、その後の20世紀作家の複数の作品においた。ディケンズ、オースティン、エリオットといったイギリス近代小説の作家たちとシンとナイポールの職業表象、職業観については共著書『刻まれた旅程』の中で詳しく触れた。ナイポールについてはさらに共編著諸『土着と近代――グローカルの大洋をゆく英語圏文学』のなかで、触れることができた。アーナンド、ナラヤン、ラオについては、それぞれの作家の作品の読解を終え、今後、段階的に論文のかたちにする予定である。ここではインド的なる主題(植民地問題、分離独立、宗教)とインドを越えた各国、各地に共通の主題(紛争、価値の衝突、移動、移民、望郷、歴史観、人のたどり着くべき場所、伝統、新旧に関わる問題)を分析の上、文学というジャンルの問題発見能力を精査した。
|
Research Products
(3 results)