2014 Fiscal Year Research-status Report
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25370321
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
田口 哲也 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (00145103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CROSS R・J. 同志社大学, グローバル地域文化学部, 教授 (70278464)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アジア系英国人 / 9・11 / 人種関係 / ポストコロニアリズム / グローバル化 / 現代英文学 / 英国映画 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、以下に述べる2点を中心に研究を進めた。 1)アジア系英国人、即ちインド亜大陸からの移民とその子孫のアイデンティティがどのように形成されるかを解明した。映画やラジオのドキュメンタリーにおける描写から事例を抽出し、移住、同化のプロセスをモデル化した。具体的には、25年度に集中的に調査した、Sandhya Suriによるドキュメンタリー映画 “I for India” の分析を基にして、Kavita PuriのBBCラジオ・ドキュメンタリー・シリーズ “Three Pounds in My Pocket” を事例として取り上げ、白人の英国人とアジア系英国人との関係を分析・記述し、人種関係モデルのさらなる普遍化を試みた。この研究に関して、研究分担者のロバート・クロスは、2014年11月にデンマークで開催されたThe Comparative Studies in Migration and Memory Symposiumにおいて研究発表を行った。また、田口は論文「ポスト・白人文化の創作原理」を発表し、理論構築を行った。 2) 2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ以後のアジア系英国人のアイデンティティの変容に関する調査研究。主にアジア系英国人で構成される劇団、特にロンドンを拠点に活動するTara ArtsやTamasha Theatre Company、Kali Theatre Company、そしてアジア系英国人の劇作家Shahid Nadeem (“Dara”, 2010)やAnwar Akhtar (“The Samosa”, 2012)が手掛ける演劇をクロスが実地調査し、持ち帰ったデータを主に研究代表者の田口が分析し、アジア系英国人のアイデンティティの変容をポスト・コロニアリズム理論一般に位置づけた。この研究成果の一部は田口による単著『ケネス・レクスロス中心の現代対抗文化』(国文社)に収録されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
9・11同時多発テロ事件によって一気に世界情勢が変わったことは確かだが、本研究の目的は、事件が引き起こしたセンセーションがいかにその後の人種関係を変えていったかを、具体的な文学作品や映像作品の分析を通して明らかにしていくことであった。その意味においては、取り上げる作品がドキュメンタリー中心になったのは不可避であった。また、現代のメディアの流通性を考慮すれば、文字によるドキュメンタリーではなく、映像と音声によるドキュメンタリーの分析が中心となった。抽出したデータを9・11以前の作品群と以後の作品群に分類し、この2群に照応関係があるかどうかをタイポロジー(予型論)を用いて検証した。「両者(=9・11以前の作品群と以後の作品群)のあいだに照応関係がある」という仮説は証明されたが、言語芸術や映像作品がどのように現実に関与できるかという、もう一つの研究目的は十分に達成できなかったために、カウンターとしてインド国内のドキュメンタリー作品の追加調査を行いつつある。あらかた分析は終わっているが、理論構築のためにさらに時間が必要で、残念ながら調査結果をまだ公表する段階に達していない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究結果をさらに高次の理論へと発展させるために、今後はインド亜大陸からの移民社会とインド亜大陸の諸国における社会の在り方を対比させ、両者の間に同時代性があるか否かを、ドキュメンタリー作品を用いて検証する。次に、このようにして得られた同時代性の属性をカテゴリー分類し、どのような属性が実際に人種的アイデンティティの形成にどのような変容圧力を加えているかを、文献や統計データを用いて計測する予定である。結果として、現在展開されている変容圧力をどのように読み解くことができるかを考察し、アジア系英国人が経験している人種的アイデンティティの普遍性と特殊性をマッピングしていく作業を進めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
調査先との予定があわず、3月に予定していた国内の調査研究(文献調査と聞き取り調査)が実行できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
東京大学、青山学院大学での文献調査と聞き取り調査を行い、取得したデータの整理を行う予定である。
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Research Products
(3 results)