2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study of Sense of Guilt and Forgiveness in Greek and Roman Literature
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25370347
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小川 正廣 名古屋大学, 人文学研究科, 名誉教授 (40127064)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ギリシア / ローマ / 他者 / 罪責 / 赦し |
Outline of Annual Research Achievements |
4年間の研究を経て、人文学全般から提示された諸仮説や諸見解を最終的に批判的に検証し、古代ギリシア・ローマにおける罪責と赦しのあり方と他者との新たな相互関係の再構築の問題点を総括した。 (1)従来の人文学研究では、西洋古代には罪責の意識はあったが、真の意味での赦しの観念は未発達であり、赦しは古代末期のキリスト教の導入以降に本格的に西洋人の意識と言動の中に定着していったとする見方が根強い。しかし本研究では最後に、4年間の実証的研究を総括するとともに、そうした通念を批判的に検証した。 (2)ギリシア・ローマ全体における罪責と赦しの様相とそれらの相関関係を明確にして、現代の社会的・国際的問題の検討と解決に対しても基礎的認識として活用できる結論について考察した。 (3)総括内容を全国学会で発表するため、他者への罪責と赦しの観点からホメロスの文学を中心にして研究を取りまとめた。その研究発表は、「『オデュッセイア』における戦争と平和―叙事詩の結末部をめぐって―」と題して、日本西洋古典学会第69回大会(2018年6月3日、名古屋大学)において行なわれる予定である。
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Research Products
(1 results)