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2013 Fiscal Year Research-status Report

1800年前後のドイツ文学における「ドッペルゲンガー」形象の生成をめぐる考察

Research Project

Project/Area Number 25370354
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionOsaka Kyoiku University

Principal Investigator

亀井 一  大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00242793)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2018-03-31
Keywordsドイツ文学 / ジャン・パウル / ドッペルゲンガー / モチーフ研究 / ジーベンケース / 物語論 / 終末論 / E・T・Aホフマン
Research Abstract

ドッペルゲンガーモチーフの初出テクストとされるジャン・パウルの小説『ジーベンケース』第一版 (1796) を取り上げ、小説とドッペルゲンガーモチーフの関係を分析した。歴史的批判版テクストが、1818年に出た第二版を底本としているため、一般に『ジーベンケース』として読まれているのは第二版の方である。そこで、クラウス・パウラー編集のシノプスを利用して、二つの版を比較した。第一版で目立っているのは、ドッペルゲンガーの超越性である。(1)ドッペルゲンガーは、もともと、死の前兆として自分の姿を見るという伝承に由来する。第一版では、生き写しという特徴がそのまま残り、死と復活という物語のモチーフに接続している。第二版では、ドッペルゲンガーの性格的な差異が、たびたびクローズアップされ、いっそう人間的な形象に書き換えられている。(2)第一版では、ドッペルゲンガーのエクセントリックな行動が、物語の展開の原動力になっている。第二版は、周辺人物も含めて、心理的な動機付けが強くなっているので、ストーリーにある程度の必然性が加えられている。
論文『1800年前後のドッペルゲンガーモチーフについて(第I報)』は、(2)を中心に検討した。さらに、準備段階の草稿や、初期諷刺テクスト『生きながら葬られ』(1790) を参照しつつ、喜劇的小品が小説へ発展してゆく過程を辿り、三人称物語という小説の枠組みが、ドッペルゲンガーモチーフの導入の条件になっているという仮説を立てた。この点については、今後の研究で検証する。
(1)については、ジャン・パウルの『巨人』におけるドッペルゲンガーモチーフの研究、さらに、第二版出版のほぼ同時期に書かれているE・T・Aホフマンの『ドッペルゲンガーたち』(1822)を視野に入れて、論文に纏める予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

25年度研究は、研究計画を大幅に変更した。計画では、ドイツのマールバハ図書館での文献調査を予定していたが、別機関の支援を受け、ドイツでの研修に参加することになったため、26年度に延期した。そのため、ホフマン研究も先送りし、手元に資料の揃っているジャン・パウルのテクスト分析から着手した。
ホフマン研究についてはまだ準備段階である。『ドッペルゲンガーたち』、『牡猫ムル』を精読した。
研究計画に挙げた課題のうち、「ドッペルゲンガー形象の特徴の分析」については、ある程度の成果をあげることができた。「人間学的観点からの考察」については、まだ準備段階にある。しかし、A・コショルケの身体論『流動する身体と文書交換』(Koschorke, Albrecht: Koerperstroeme und Schriftverkehr, 1999)を読み、18世紀後半の人間学に対するメディア論的なアプローチを確認した。

Strategy for Future Research Activity

25年度の研究によって、ジャン・パウル『ジーベンケース』の第一版と第二版の間で、ドッペルゲンガー形象に変化があったことが判った。26年度は、後続の作品(『巨人』、『フィヒテの鍵』、『ジーベンケース』第二版)のテクスト分析を通して、その変化の過程を追跡する。その際、短編小説『ドッペルゲンガー』を中心に、E・T・Aホフマンとの関係を明らかにする。ホフマン関連のテクスト研究は、27年度以降も引き続き行う。すでにある程度準備のできている『ドッペルゲンガーたち』、『牡猫ムル』の他に、『ブランビア姫』、『磁気療法師』についても研究を開始する。
また、人間学関連の資料として、プラートナーの『人間学』(Platner, Ernst: Anthropologie fuer Aerzte und Weltweise, 1772)と、ライルの『ラプソディー』(Reil, Johann Christian: Rhapsodieen ueber die Anwendung der Psychischen Curmethode auf Geisteszeruettungen, 1803)を比較考察する。
26年度に、マールバハ図書館で関連文献の調査を行う。当初予定していた、ベルリン国立図書館所蔵の手稿研究は見合わせる。
27年度以降については、研究計画を目安に研究を進める。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

計画していたドイツのマールバハ図書館での文献調査ができなかったため。
26年度に、ドイツのマールバハ図書館での文献調査を行う。

  • Research Products

    (2 results)

All 2014 Other

All Journal Article (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] 1800年前後のドッペルゲンガーモチーフについて(第I報) ― ジャン・パウルのテクストにおける「死」と「わたし」 ―2014

    • Author(s)
      亀井 一
    • Journal Title

      大阪教育大学紀要第I部門

      Volume: 63 Pages: 印刷中

  • [Remarks] 1800年前後のドイツ文学における「ドッペルゲンガー」形象の生成をめぐる考察

    • URL

      http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~kamei/doppelgaenger.html

URL: 

Published: 2015-05-28  

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