2015 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ語圏における神話・伝説素材の作品化に見られる集合的記憶の諸相
Project/Area Number |
25370363
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
園田 みどり 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (80246363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古屋 裕一 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (10229130)
ループレヒター ヴァルター 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (50254123)
山本 潤 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (50613098)
犬飼 彩乃 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 助教 (70622455)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 独文学・独語圏文学 / 記憶 / 伝説 |
Outline of Annual Research Achievements |
ループレヒターは、1960年代に言語実験の中心的存在となったヴィーン・グループに寄り添う形で活動を展開したコンラート・バイアーのテクストを取り上げ、歴史的な素材や人物が実験文学的手法によってどのように民族や神話的文脈に移し替えられるか、またその際いかに様ざまな変化を遂げるかといった点を追究した。山本は、中世盛期から後期にかけての英雄伝説素材の持つ歴史性を検証するとともに、『ニーベルンゲンの歌』が再発見された18世紀半ば以降のニーベルンゲン素材受容を検証し、その問題点と近代ドイツ史に与えた影響の俯瞰的視点からの総括を試みた。犬飼は、ドイツ語圏後期モダニズム文学における記憶概念の変遷に注目し、アルノ・シュミットの作品の中に、二大大戦をめぐる個人的記憶と神話や歴史に関わる集合的記憶の同時的企図による新たな散文形式を見出した。園田は、ドイツ人が共有するナチズムの集合的記憶に関わる文学における一形態として、ニーベルンゲン伝説素材の作品化という側面から深く追究されていない、1950年代当時最多観客動員数を誇ったツックマイアーの演劇作品『悪魔の将軍』を取り上げ、その時々の歴史に左右されつつ好んで使用されてきたニーベルンゲン素材が意外にも当作品全体に重大な影響を及ぼす核心的モティーフであることを突きとめ、著者が期待し、かつ作品が形式として打ち出そうとしている事実の象徴的表現であるということと、それを受け留める読者側の受容の実態との間に生ずる齟齬の中に、ニーベルンゲンを巡る文化的記憶としての本作の問題性が横たわっている点を新たな批判的読解に結び付けた。
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Research Products
(7 results)
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[Book] Konrad Bayer: Texte, Bilder, Sounds.2015
Author(s)
Kastberger, Klaus / Eder, Thomas (編) Ruprechter, Walter /Klaus Kastberger / Thomas Eder / Dominik Srienc / Roland Innerhofer /Georg Oberhumer / Oliver Kohlmann / Gabriele Jutz / Eva Erber / Laura Tezarek / Gisela Steinlechner /Friedrich Achleitner / Oswald Wiener / Ferry Radax / Guenther Eisenhuber / etc.
Total Pages
300 (217-228)
Publisher
Zsolnary