2016 Fiscal Year Annual Research Report
Essay to interpret synthetically Diderot's philosophy in his last years. Intercultural reading of his Elements de physiologie
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25370364
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
寺田 元一 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (90188681)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ディドロ / 『生理学要綱』 / ハラー / 生理学 / 間テクスト的読解 / 典拠 / ストア主義 / 『セネカ論』 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実績の要諦は、年度の後期に6ヶ月にわたり、ナント大学の招聘研究者として、ディドロの『生理学要綱』(以下『要綱』)を中心に行った研究にある。当該研究は『要綱』の典拠とディドロのテクストとの関係を探ることで、『要綱』の成立過程を従来以上に明確にし、それを通じて、『要綱』の間テクスト的な読解を深めるというものであった。研究は以下のように進められた。毎週私が『要綱』の10ページほどについて、その典拠を精細に調べた表を作成し、それを元に私が読解(分析)を行う。それを元に、文学人文学部のシュテンガー教授と週一回2時間ほど議論する、というものであった。教授との議論を通じて、ディドロの他のテクストとの関係、研究解釈上の対立点や、新たな典拠のヒントなどが明確になった。 『要綱』の典拠調べと分析をすべて終了することができ、それを元に、フランス語で「『生理学要綱』新解釈の試み―間テクスト的読解と校訂版―」という題目で、『要綱』の中心的4主題の三つ―感性、発生、道徳―について、典拠との関係を踏まえた斬新な報告を、パリ・ナンテール大学のコラ・デュフロ教授のセミナーで行った(2017年3月28日)。そこには、著名なディドロ研究者である、レカ・ツィオミス、フランソワ・ペパン、コラ・デュフロなど、10名ほどが出席し、大変好評であった。今回の発表を元に『要綱』の校訂版を作成する予定で、現在、上記のフランスの研究者の力も借りながら、フランスの出版社を探している最中である。 また、『生理学要綱』結論部の道徳はセネカと関連し、最近そこに登場するラテン語の詩の著者が17世紀のユマニストHeinsiusであることが発見された。今回、私はディドロとHeinsiusの関係の解明をさらに進め、後者が「ストア哲学讃」という著作を書いており、それを媒介に『要綱』と『セネカ論』の関係を探るという、新規の研究課題を提示できた。
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[Book] Diderot, l ‘humain et la science2017
Author(s)
Gilles Barroux, Marion Chopin, Jean-Marc Drouin, Tatsuo Hemmi, Guillaume Lecointre, Francine Marcovits, Adrien Paschoud, Francois Pepin, Motoichi TERADA, Caroline Warman
Total Pages
220 (寺田担当分 181-212)
Publisher
Editions materiologiques