2017 Fiscal Year Annual Research Report
Philosophy of the Russian Religious Renaissance and World war
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25370366
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
北見 諭 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (00298118)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ロシア哲学 / ロシア・ルネサンス / 哲学と戦争 / ベルジャーエフ / セルゲイ・ブルガーコフ / セミョーン・フランク / ロシアにおける生の哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「ロシア宗教哲学ルネサンス」と呼ばれる20世紀初頭のロシア文化の高揚期に現れた数人の思想家を検討の対象とし、彼らが第一次世界大戦期に展開した世界戦争の思想の意味を、その背景にある彼らの認識論や存在論などと関連付けながら解読する試みである。 別の科研費研究の成果を継承発展させる形で行われたこの研究では、前半には前回の科研費研究で扱うことができなかったセミョーン・フランクとセルゲイ・ブルガーコフの哲学思想の全体像を捉える作業を行い、後半には前回と今回の二度の科研費研究で扱った思想家を中心に、20世紀初頭のロシア哲学の中心となる人々の世界戦争に関わる思想を網羅的に検討し、その思想的な意味を明らかにする作業を行った。 最終年度となる今年度は、昨年度の研究を継承発展させつつ、ロシアの思想家たちの世界戦争論と、一方ではプラトニズム、他方では生の哲学に基づく彼らの哲学思想を関連付ながら考察する作業を行い、ベルジャーエフを中心としつつ、その同時代の思想家たちの多様な世界戦争論の意味をより深く解明するように努めた。そしてその研究成果をまとめる作業にも取り掛かった。 戦争論の検討をより深める作業としては、20世紀初頭の思想家たちのネーション理解を、それに影響を与えたと考えられる前世紀の哲学者ソロヴィヨフの『ネーション問題』と比較検討することで、20世紀初頭の思想家たちの戦争論をロシア思想史の文脈に位置づけることを試みた。そしてさらに、戦時期のベルジャーエフの思想がドイツの法思想家カール・シュミットの戦間期の思想と類似性を有することに着目し、それとの対比によってベルジャーエフの生の哲学的な戦争論の本質をより深く解明することを試みた。 また、戦争論に関する研究成果をまとめる作業としては、年度内に二度研究発表を行い、論文の執筆も開始した。論文は今年度の夏に学術誌に投稿する予定である。
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