2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370367
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
原口 尚彰 東北学院大学, 文学部, 教授 (60289048)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ローマ書 / 釈義 / 神学的考察 / 本文批評 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度前半は、ローマ書の文献学的考察の出発点として、本書簡のギリシア語本文の写本を校合して、本書簡の最も原初的な本文の確定する課題に取り組んだ。この研究は基礎的で地道な作業であるが、文献学的研究の土台を形成する上で不可欠である。この作業の成果は、「ローマ書の統一性についての文献学的考察」という論文にまとめ、東北学院大学文学部総合人文学科の紀要『人文学と神学』第7号(2014年)17-32頁に発表した。
本年度後半は、ローマ書の1章から5章の本文の釈義的・神学的考察に従事し、将来に本書簡の註解書を書くための準備を行った。特に、ローマ書3章22,28節に出て来るギリシア語句のピスティス・イエースー・クリストゥーの文法的・神学的性格について、語学的・神学的考察を行った。2014年9月に関西学院大学を会場に開催された日本基督教学会第62回学術大会において、研究発表を行い、研究者諸氏と意見交換を行った。
さらに、年度末にはこうした語学的・文法的分析を基礎にして、ローマ書3章に神学的・思想的考察を加えて、論文「パウロにおけるイエス・キリストのピスティスの意義」を執筆し、東北学院大学文学部総合人文学科の紀要『人文学と神学』第8号(2015年)17-34頁に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度は、所属機関での公務の負担が比較的少なく、史料集めや分析、文献学的・神学的考察に割くことの出来る時間が比較的多かったので、研究に計画した通りの時間と労力を投入することが出来た。そのことが、研究を順調に進めることが出来た主な原因であると考えられる。
所属機関が2015年4月より変わることになり、年度末の3月はそのための手配や準備に忙殺されることになったが、2月末までに2014年度に計画していた作業をほぼ完了していたので、年度全体としては予定していた研究計画を達成することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
ローマ書の文献学的検討をさらに推進する。まず、三年来取り組んできたローマ書の修辞学的研究に区切りを付けて一定の結論を得た上で、一つの論文としてまとめ、発表する。
次に、ローマ書の6章から8章の本文の釈義的・神学的考察を行う。この部分に含まれる解釈上の問題点を検討して一定の結論を得たい。その一部は、キリスト教学や聖書学の専門学会において、研究発表の形で公表し、研究者諸氏と意見交換をする。また、特定の問題についての考察は、論文として専門誌や大学の紀要に発表することを考えている。
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Research Products
(3 results)