2015 Fiscal Year Annual Research Report
ナボコフのロシア語韻文作品の研究―エミグレ表象とモダニズム詩人としての位置づけ―
Project/Area Number |
25370382
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
寒河江 光徳 創価大学, 文学部, 准教授 (60440228)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ロシア文学 / ロシア・モダニズム / ウラジーミル・ナボコフ / 亡命詩人 / ポスト・コロニアリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はウラジーミル・ナボコフの韻文作品の研究とモダニズム詩人としての位置づけを明らかにする考察であるが、同時代の亡命詩人、先行するモダニズム詩人についての関連資料も同時に調べた。平成25年度~27年度にかけて、毎年夏にアーカイブ調査をおこなった。 25年度にはハーヴァード大学とコロンビア大学図書館にての調査、26年度にはパリ大学とサンクト・ペテルブルグにあるロシア文学研究所での調査をおこなった。27年度にはニューヨーク公立図書館においてアーカイヴの調査を行った。ウラジーミル・ナボコフに関連する研究資料を収集するために3年間、アメリカのボストン、パリのスラヴ研究所、サンクト・ペテルブルグのロシア文学研究所、および、ニューヨーク公立図書館に行き、現地でアーカイヴ(直筆原稿)を調査した。その上で、ロシア語で書かれた韻文作品を日本語に翻訳し、ポスト・コロニアリズムの視点から「亡命者」および祖国「ロシア」についての表象について研究した。研究成果については、創価大学通信教育部発刊の教科書『文学Ⅱ~文学研究と文学理論への手引き』を平成25年度の夏中に執筆し、発刊した。さらに「ウラジーミル・ナボコフの作品における「ずれ」の美学 : 『賜物』、『透明な対象』を中心に脱構築的読解を試みる」(創価大学ロシア・スラヴ論集、2013)、「V.ナボコフの作品における円環構造とシンメトリーにまつわる形象のパターンについてー」(2014、東洋哲学研究所紀要)、『マーシェンカ』(ウラジーミル・ナボコフ)におけるテレパシーの思想と明滅のイメージについて~『アンナ・カレーニン』(レオ・トルストイ)論との比較考察(2015、東洋哲学研究所紀要)において研究機関に成果を発表した。月一回に行われる京都大学での「『アーダ』の翻訳と注釈の研究会」に参加し、ナボコフ作品の全体像を掴む努力をつづけている
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Research Products
(3 results)