2013 Fiscal Year Research-status Report
古ロシア語文献デジタル化の為の、初期キリル文字を含むウェブフォントの開発について
Project/Area Number |
25370390
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe Shinwa Women's University |
Principal Investigator |
酒井 純 神戸親和女子大学, 文学部, 准教授 (20390049)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | キリル文字フォント / 初期キリル文字 / ユニコード / フリーライセンスフォント |
Research Abstract |
本研究では、古ロシア語で用いられていたキリル文字を含むフリーライセンスのフォントを作成することを目的としている。このために本年度の研究では、まず古ロシア語などで用いられる各種キリル文字をロシア諸年代記などの資料から収集している。 これらの文字資料を元として、コンピューター用のPreslavという名称のフォントとして作成している。今回作成したフォントは、これまでのロシア諸年代記語彙目録およびコンコーダンスで用いるために作成したフォントに文字を追加、改修したものである。実際の文字数としては、これまでに基本ラテン文字(!”#$などの記号、abcABCなどのアルファベット、数字等)95文字、基本キリル文字144文字(АБВГДЕабвгдなどのキリル文字)、および拡張キリル文字4文字のフォントフェイスを作成している。 そしてこれらを元として、Windows上で直接利用可能なTTF形式(Preslav.ttf)、およびウェブページ上で利用可能なWOFF形式(Preslav.woff)のフォントファイルを作成して、フリーのフォントとしてウェブ上で公表している。 また、本研究申請時点より後に、windows 8が少しずつ普及してきており、またUnicodeの新しいバージョンである6.3が発表されており、本研究への影響を調査した。Windows 8に収録されたフォント(Times New Roman)で、基本キリル文字に10文字が追加されていることが確認されたが、本研究の大きな目的である拡張キリル文字については追加がないことが確認されている。またOSやウェブブラウザーなどの違いによる問題についても、パソコンに限らずタブレットなどについてもチェックしている。これは、語彙目録やコンコーダンスの利用形態として、今後パソコンに限らず様々な端末からの利用が想定されるためである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
作成しているキリル文字フォントについては、これまでの資料収集で使用例が見つかっている物に関してはよいが、使用例が見つからない物での文字デザインについて作成が遅れている物が多い。これは、フォントフェイスを他の文字からの応用でデザインする必要があるためである。またフォントの表示・印刷結果を元として1文字ずつフォントデザインの調整を行う必要があり、これにも予定以上の時間がかかることとなった。 また、コンコーダンスの改訂作業については、申請時の予定通りこれまで作成したデータの確認の段階にとどまっている。これは、Unicodeを元として作成したコンコーダンスについては、全体のフォントの指定を変えることと、一部文字を置き換えることで変換可能であるが、Shift-JISコードを基礎としてTexを用いて作成したコンコーダンスの変換が複雑であり、このために専用のプログラムを作成する準備をしているためである。 そして、これまでに作成したフォントについては、現在すでにウェブ上で公開しているが、ライセンスやウェブフォントとしてのマニュアルが不足している。これは、フリーのライセンスを選定できていないことなどによるものであり、今後早急に整備の上公開する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず現在作成しているセリフ体のPreslavフォントについては、平成26年度中に基本キリル文字、および拡張キリル文字のすべてのフォントフェイスの作成を完了させる予定である。そして、完成版のPreslavフォントとしてTTF形式およびWOFF形式の両方の形で公開する予定である。 一方、初期キリル文字のフォントフェイスを持ち、Izhitsaフォントとの互換性を考慮したDobrogeaフォントについても、平成26年中に作成方針を定めた上でフォントフェイスの作成に入る予定である。ただし、Unicodeに割り当てがある文字すべてに、対応する初期キリル文字があるわけではないため、この対応をどうすべきかを検討する必要であると考えている。 これまでに作成してきた語彙目録、およびコンコーダンスの改訂作業については、平成26年度より本格的に着手することとなる。これまでに作成した各語彙目録・コンコーダンスによって、用いられている文字コードやフォントのバージョンが異なっており、これを考慮してそれぞれにあわせた変換プログラムを作成する予定である。ただし今後の利用も考慮して、汎用できるソフトウェアの試作も考えている。 またこれまでに作成したフォントは、現在はウェブ上でフリーのフォント(特にライセンスは指定していない)として公開しているが、これらのフォントのライセンスを変更する予定である。現在のところGNU Publicライセンスが適していると考えているが他にもフォント専用のフリーのライセンスなど¥もあるため検討中である。 最後に、本研究での目的と重なる、フリーのライセンスを持つウェブフォントで、ほぼすべてのキリル文字に対応したものが出てきており(Free UCS Outline Fonts)、本研究で作成中のフォントと比較してどのようなメリット・デメリットがあるのかを比較・検討する予定である。
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Research Products
(1 results)