2015 Fiscal Year Research-status Report
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25370400
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| Research Institution | Tohoku University |
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Principal Investigator |
土屋 育子 東北大学, 文学研究科, 准教授 (30437800)
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| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 中国文学 / 六十種曲 / 中国戯曲 / 雑劇 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、６０種の戯曲作品を収録する戯曲集『六十種曲』を主たる対象として、その成立と編纂意図を明らかにすることを目的としている。『六十種曲』は、中国戯曲文学の傑作とされる作品や、本書にのみ収録される作品などを収録しており、中国戯曲史における本戯曲集の存在価値は非常に大きいといえる。本研究を進めることは、明末清初における中国戯曲史の一端を明らかにする一助となると考える。
本研究目的を達成するために、『六十種曲』収録作品のうち、異本が存在する作品を抽出し、比較調査を進めている。本年度は主として、これまでの２年間で収集した資料について整理・調査を進めるとともに、その成果を論文として発表した。
調査を行った作品は、前年度から継続している『琴心記』『灌園記』のほか、新たに着手した『紅拂記』『八義記』『節侠記』などである。また、前年度から調査を進めていた『千金記』について、研究成果を論文一編にまとめ公表した。『千金記』は、『史記』韓信列伝等を典拠とする作品である。本作品には、六十種曲本以外にも４種のテキストが現存するだけでなく、先行作品として平話・雑劇も存在する。このように複数のテキストが存在するため、内容の変遷やそれぞれのテキストの性格を比較することができる。調査の過程で、研究開始当初に明らかでなかった異なる版本の存在が判明したため、その異本を新たに調査対象に加えた上で調査を行い、全体として結論を見なおすことになった。その結果、六十種曲本『千金記』は、ある１種類の版本にのみ拠っているのではなく、富春堂本の祖本と想定される版本をベースにしつつ複数のテキストを用いて改編されていることがわかった。本論文の結果は、今後『六十種曲』所収の他の作品と異本との関係を探る上で、指標の一つとなりうると考える。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度から調査を進めていた『千金記』について、研究成果を「『千金記』版本考」として論文にまとめ、公表することができた。
前年度に引き続き、異本が現存する状況によって、作品をグループ分けしながら調査を進めている。なお、異本が存在しない１６種は、調査対象から除いている。現存する異本が１種のみで、かつ現時点で入手済み或いは入手可能であるのは、８種である。入手済みの作品に関しては、六十種曲本とかなり一致するグループと、逆に異同が多いグループとに分類しうる。現存する異本が複数あり、かつ異本の出版者が共通する作品についても、グループに分けて調査を進めている。現時点では、次のような傾向が明らかとなりつつある。（１）富春堂本と世徳堂本の２種が現存するグループでは、六十種曲本の本文は富春堂本に近い傾向がある。（２）世徳堂本と継志斎本の２種が現存するグループでは、六十種曲本の本文は継志斎本に近いケースが見られる。しかしながら、最終年度においてさらに調査が必要である。
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| Strategy for Future Research Activity |
最終年度となるので、異本の複写あるいはデータを入手済みののものを中心に調査を進め、その結果を論文としてまとめることを目指す。とはいえ、国内外で複写等の収集可能な異本は継続して収集することとし、調査を進展させるとともに、研究成果の充実を目指す。
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Research Products
(4 results)
