2014 Fiscal Year Research-status Report
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25370405
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
廣瀬 玲子 専修大学, 文学部, 教授 (90238410)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中国文学 / 元雑劇 / 白話小説 |
Outline of Annual Research Achievements |
戯曲テキストのインターテクスチュアリティに関しては、以下の研究を実施した。 1、元雑劇「緋衣夢」についての論文「回復される均衡――元雑劇「緋衣夢」試論」を『東洋文化研究所紀要』に掲載した。本論文は、元雑劇の作品が他の作品の要素を取り込みながら作られていること、すなわち戯曲のインターテクスチュアリティの一端を具体的に示し、あわせて元雑劇の上演に商人が大きく関わっている可能性を指摘したものである。 2、元雑劇『西廂記』については、昨年度この助成金により購入した「国家図書館蔵西廂記善本叢刊」シリーズ「二集」に収められた版本を用いて、明代の脚本分化における雅俗の問題、あるいは上演と読曲における雅俗の問題についての研究を進めている。今後、論文にまとめて発表する予定である。 小説のインターテクスチュアリティに関しては、以下の研究を実施した。 3、中国白話小説のインターテクスチュアリティについて論じた英文の研究書、ジン・ワン著『石の物語』(Jing Wang, The Story of Stone)の翻訳を完成させ、法政大学出版局より刊行した。本書は、白話小説を代表する作品である『紅楼夢』『水滸伝』『西遊記』の三作品がすべて「石」から始まることに着眼し、古代以来の伝説・歴史・宗教とのインターテクスチュアリティを明らかにしたものである。昨年度ほぼ完成していた訳稿の改稿および3度の校正を行って出版するに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学術雑誌に元雑劇についての研究論文を掲載することができた。また、本研究の計画に含まれていた、欧米のすぐれた研究の紹介という目的は、研究書の翻訳出版という形で達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
『西廂記』について、戯曲テキストのインターテクスチュアリティの研究、および本文と批評のインターテクスチュアリティの研究を行う。 また、当初の予定にはなかったが、近世白話文学の枠にとらわれずに中国の古典テキストを俯瞰するという観点からのインターテクスチュアリティの研究にも取り組む。
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