2014 Fiscal Year Research-status Report
戦時上海のメディア『新申報』と『大陸新報』の比較――陶晶孫の言語選択
Project/Area Number |
25370408
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中村 みどり 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (30434351)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 『大陸新報』 / 『新申報』 / 日中戦争 / 日本留学経験者 / 陶晶孫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に北京・上海で収集した中国語新聞『新申報』の記事・文章の整理を行い、また早稲田大学政治経済学部研究図書室所蔵の日本語新聞『大陸新報』マイクロフィルムを引き続き閲覧し、陶晶孫をはじめとする日本占領下の上海にとどまった中国知識人の動向に関する記事・文章のコピー収集をすすめ、整理を行った。これらの史料をもとに陶晶孫の日中戦争期の年譜・作品リストの下敷きを作成し、さらに彼が『新申報』『大陸新報』二紙に発表した文章の内容、表現を比較分析し、日中二カ国の言語がいかなる状況のもとで使い分けられていたかについて、初歩的な考察を行った。 本年度の研究成果の一部は、日本語「陶晶孫『牛骨集』[楓林橋日記]を読む」と中国語「戦争下的記録与故事:陶晶孫発表於《新申報》的作品」にそれぞれまとめ、国内の研究会である中国文芸研究会和歌山夏合宿(9月)とシンポジウム2014東京-首爾中国現代文学研究対話会(12月)で発表し、発表論文を同シンポジウム論文集に掲載した。 さらに3月に台湾に出張し、国史館に所蔵された国民政府、汪兆銘政権の文化政策(大東亜文学者大会、中日文化協会)関連史料を閲覧し、史料収集を行った。また国立台湾文学館で、陶晶孫が日中戦争終結後に国民政府から派遣された台湾大学医学部に関する史料を閲覧し、収集を行い、日中戦争中および戦争直後に日本留学経験者が「抗日中国」「戦勝国中国」の中でいかなる位置にあったかを考察する一次資料を入手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象である二紙『新申報』と『大陸新報』の関連史料はほぼ収集、整理を終え、作品リストと年譜の下書きを作成した。さらに国史館で収集した史料を加え、これらの史料の分析段階にまで来ている。また現時点での成果をまとめ、研究会とシンポジウムで発表し、さらに中国語の論文にまとめた。
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Strategy for Future Research Activity |
戦時の史料分析を行うには、日本占領下の上海の総体的な状況についてさらに深く把握する必要があると感じている。このため、戦時上海に関する日中の先行研究および関連書籍を精読し、当時の特殊な状況を理解した上で、慎重に史料分析と考察を行いたい。 次年度の研究成果は、日本語と中国語でそれぞれ執筆し、日中両国の学会での発表を予定している。
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Causes of Carryover |
台湾出張前に、台湾新幹線のHP上に記されていた新幹線乗車料金(指定席)を出張申請書に記入したが、当日駅で切符を購入した際、指定席ではなく自由席しか購入できないなどの事情があり、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
日中戦争関連の書籍購入費に用いる予定である。
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Research Products
(4 results)