2015 Fiscal Year Annual Research Report
中国における音楽物語伝承研究ー『太平広記』を題材として
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25370409
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
中 純子 天理大学, 国際学部, 教授 (00248189)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 太平広記 / 音楽物語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は以下の二つである。一つは中国文学研究分野において、音楽と関わる詩文の解読に寄与するために、『太平広記』を中心とした音楽物語の分析を行なうこと。二つはその音楽物語の伝承のありかたを検討すること、である。最終年度となる本年度は、以下のように、その成果を得ることができた。 ①訳注 『太平広記』楽部の訳注作成 『中国文化研究』32号に25年度・26年度に引き続き該当部分の訳注を掲載した。これは本研究の基礎部分を構成しており、紙面の関係で掲載していない部分については、科研期間終了後も引き続き掲載を続ける予定である。②学会発表 東方学会シンポジウムでの中純子「中国における音の怪ー『太平広記』を手懸りとして」において、『太平広記』を中心とした音楽物語のありかたを分析し、唐代と宋代における音楽の不思議な現象についての対応の違いを発表した。また日本への伝播についても言及した。③論文 弘岡香織(幸福香織)「唐代の大puと「于wei」の歌」(『学芸 国語国文』第47号)において、『太平広記』の記事によって、これまで解明できなかった唐詩の一側面を捉えることができた。中 純子「蘇軾と音楽」(『橄欖』20号)においても宋代文人が音楽文化をどのように享受するかを考察することができた。中 純子「詩賦が織り成す中国音楽世界」(勉誠出版『アジア遊学』掲載予定)においては、漢代から唐代・宋代と詩賦によってこそ創造される音楽世界のあり方を論じることができた。以上①②③を総合して、本研究は最初に定めた研究目標にある程度到達することができたと考えている。
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Research Products
(5 results)