2014 Fiscal Year Research-status Report
近代日本文学における生物学・自然主義・優生学コンプレックスに関する基礎的研究
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25370420
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Research Institution | Aoyama Gakuin Women's Junior College |
Principal Investigator |
辻 吉祥 青山学院女子短期大学, 現代教養学科, 准教授 (50409588)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 優生学 / 比較文学 / 安部磯雄 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、〈近代〉日本における最も包括的かつ根底的な生物学的イデオロギーないし自然史的社会観である「社会進化論」もしくは「優生思想」と、その文学に与えた影響、相互浸透関係を明るみに出すことを眼目とし、そのための実証的基礎資料を国際的視野で集めつつ、新視点で研究を展開するものである。二年目の二〇一四年度も、当初の研究計画に従い、日本あるいはその比較対照に必要な地域の言語による基礎資料の調査・収集がはかられ、またその解読が継続的かつ丹念に推し進められた。そのなかには、二〇一三年度末に参加した国際学会Association for Asian Studiesで得られたさまざまの知見にもとづく資料も、新たに組込まれている。また加えて、その後の継続的な展開として、昨年お知らせしたように、当学会発表メンバーを中核とした研究会を、六月一五日、筑波大学(東京キャンパス文京校舎)にて開催し、新たな研究の進捗について発表を行なうことができた。約半数を占める外国籍研究者との討議・交流があり、問題意識のいっそうの深化と共有をみている。他にも、二〇一五年五月に開かれる予定の第87回日本英文学会全国大会での研究発表が認められ、研究成果を日本文学以外の領域の研究者から検討される機会を得た。いずれも、日本文学をひろく国際的視野において検討するという研究目的を満たすと同時に、次の課題を公的な場での検分を経つつ見い出す、創発的な契機となるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年目の主要な課題とした優生学関連文献の調査、読み込みの作業を遅滞なく進めている。三年目に向けて、日本英文学会全国大会での学会研究発表が認められたことは、本研究課題を高い水準で進行させていくための何よりの契機となると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
二年目の進行具合に特段の問題も生じておらず、当初の研究計画通りに進めていくことに大きな変更はない。結果を急ぐ短絡を慎重に回避しつつ、この研究の真価である一次資料の収集と解読に、時間をできるだけ割けるよう努力、工夫しなければならない注意についても同様である。二年連続して得られた、日本文学以外の領域での学会研究発表を貴重な機会として、謙虚に耳を傾け、予想以上の展開が期待できるよう、努力を重ねたい。
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