2013 Fiscal Year Research-status Report
フランス語および日本語におけるモダリティの発展的研究
Project/Area Number |
25370422
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渡邊 淳也 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (20349210)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | フランス語 / 日本語 / モダリティ |
Research Abstract |
2013年度は、おもに4つの研究領域において成果をあげることができた。 第1に、主語不一致ジェロンディフ(暗黙にされた主語が支配節の主語と同一指示にならないジェロンディフ)の機能と用法について、大量のデータ収集(35474例)にもとづいて研究し、論文を執筆した。日本、フランスの学会で発表したほか、招待講演でも扱った。フランスの学会での発表内容は2015年度にカナダで出版される予定の論文集に掲載されることが決定された。 第2に、証拠性についての研究を続行し、日本語の助動詞「そうだ」について、先行研究がほとんど総数一致でみとめている「伝聞」機能ではとらえきれない実例を示しながら、その機能の新たなとらえ方を提出する論文を執筆した。 第3に、人称表現について、オズヴァルド・デュクロらによって提唱されているポリフォニー理論に依拠しながら研究し、日本語の自称詞の諸特性に関する論文をフランス語で執筆した。 第4に、フランス語、日本語、その他の言語の時制とモダリティの関係についてこれまで研究してきたことをまとめなおし、関連づける作業を行ない、新刊著書(単著)として刊行した。第1の研究領域についても言えることであるが、言及対象となる世界を発話者がどのように認知しているかの態様(「認知モード」とよぶ)が、各言語において特異とみとめられるモダリティ諸表現の根柢で作用していることが確認された。この点は今後の研究に対しても総合的な重要性をもつと考えられる。 なお、学外より講師をまねいて、ポリフォニー理論に関する公開講演会を1回、学内での研究会を5回開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定を繰り上げて、当研究課題の計画初年度からフランスの学会で発表を行ない、その内容は2015年度にカナダで出版される予定の論文集に掲載されることが決定された。 年度内に論文3本、著書1冊を公刊したほか、2014年度刊行予定の論文2本、2015年度刊行予定の論文1本もすでに掲載が決定されている。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は、つぎの諸領域とのかかわりにおいて、モダリティを研究する予定である。 第1に、未来をあらわす諸表現とモダリティとの関連。これまで単純未来形、迂言的未来形の時制的意味とモダールな意味の関連を研究してきたが、これにくわえて、前未来形や未来にかわる現在形の時制的意味とモダールな意味の関連を研究してゆく。 第2に、ポリフォニーとモダリティ、証拠性との関連。オズヴァルド・デュクロによって創始され、アルフレード・レスカーノ、マリオン・カレルらによって近年大幅に改新されたポリフォニー理論と、その主要適用事象について検討するとともに、モダリティ研究に対して与えうる衝迫をさぐってゆく。 第3に、認知モードとモダリティとの関連。2013年度の研究の延長で、主語不一致ジェロンディフなどの諸表現を通じて、認知モードがどのようにモダリティとかかわるかを研究する。 なお、2013年12月14日に関西フランス語学研究会にて当課題の研究代表者とともに共同発表を担当してくださった早瀬尚子氏(大阪大学言語文化研究科准教授)に、2014年度から連携研究者になっていただき、共著論文を執筆するなど、たがいに協力しあいながら研究を推進することで合意している。
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Research Products
(8 results)