2016 Fiscal Year Research-status Report
フランス語および日本語におけるモダリティの発展的研究
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25370422
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渡邊 淳也 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (20349210)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | フランス語 / 日本語 / モダリティ / 認知モード |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、おもに下記の3つの研究領域において成果をあげることができた。 第1に、計画当初から研究をつづけていたジェロンディフの研究の総まとめとして、単独の現在分詞とジェロンディフとの対比、主語不一致ジェロンディフの総論、そして動詞語彙の性質を勘案したジェロンディフの文法化・語用論化の研究の3部構成からなる単著の著書を公刊した。また、とくに en passant の文法化・語用論化については単著論文1本を公刊した。 第2に、フランス語aller、スペイン語・ポルトガル語・ガリシア語ir、カタルーニャ語anarといった「行く」型移動動詞が文法化した結果、迂言的未来形、迂言的過去形といった時制的価値を帯びる場合や、貶損的なモダリティを示したりする場合を研究し、国内、およびフランスで口頭発表をおこなった。 第3に、フランス語に特有の認知モードが、語彙や表現のなかにあらわれていることを検証した。とりわけ、名詞・形容詞を兼ねる語彙項目 sujet と日本語との対照研究を遂行し、日本語との対比からもフランス語の特徴を照らし出すようにした。 第1の研究内容については単著著書1冊、論文1件を刊行したが、第2、第3の研究内容については、いずれについても1件ずつ、すでに受理済みの論文が来年度公刊される運びである。 なお、学外より講師をまねいて1度講演会を実施したほか、学内での研究会を5回主催した。そして、2017年1月には、フランシュ=コンテ大学の招きで先方の大学に提出された知覚動詞に関する博士論文の審査員をつとめたが、その内容もまた当研究課題と関連が深く、今後の研究に資する活動となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単著の著書1冊、論文1本を公刊したほか、国内外の学会で4件の口頭発表をした。さらに来年度公刊が決定した論文もすでに2本ある。モダリティの各領域の研究を深化させており、最終年度である来年度に総括的な論文を新規執筆できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は計画上の最終年度のため、研究の総括をおこなう予定である。 とくに、2016年度に執筆した認知モードと語彙にかかわる研究をさらに発展させ、フランス語全般の特徴づける認知モード、さらには、アフォーダンスとのかかわりを中心に研究したい。 また、これまでの研究をまとめるため、当研究課題の期間中、講演会や研究会で討議をかわした研究者とともに、論文集を編む予定である。
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Remarks |
2017年1月17日、当課題研究代表者の渡邊は、フランシュ=コンテ大学の招きで、同大学に提出された知覚動詞に関する博士論文Etude compare'e des verbes de perception visuelle en franc,ais et en japonaisの審査員をつとめた。当研究課題とも関連が深く、今後の研究に資するとことが大きかった。
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Research Products
(9 results)