2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370427
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
安藤 智子 富山大学, 人文学部, 准教授 (00345547)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 方言 / アクセント |
Research Abstract |
初年度は、多治見市および多治見市と産業や学区の関係で関わりの深い土岐市および笠原町の方言について、調査項目を選定するための基礎作業を行った。このためにまず、岐阜県及び愛知県の各図書館において地域で作られた方言集を収集するとともに、大学図書館を通じて学術的調査の文献も収集した。さらに、データベース「日本語の語彙特性」(三省堂)に基づき各アクセント語類の所属語の中で音声的親和度の高い語を選んで調査票を作成し、多治見市内の新興住宅地を除く各小学校区において2週間の予備調査を行った。予備調査では、60~70代の各小学校区3,4名の生え抜きの多治見方言話者を対象に、まず調査語彙の認知度について確認したうえで、面接による読み上げを行い、インフォーマントの許可を得て録音した。分析、整理したデータは、データベースソフトウェアを用いて言語地図の形にした。 調査結果を分析したところ、現在までに、1拍二類名詞のアクセントに市内での地域差があること、3拍名詞の一部に性差が見られること、形容詞終止形は類にかかわらず起伏式となることが明らかになった。また、形容詞および動詞の活用形のアクセントにばらつきがみられ、先行研究における近隣地域のアクセントと類似する点もあるものの、さらなる調査と分析が必要であることがわかった。 この調査結果は、翌年度以降のアクセント調査の実施及び結果の考察のための基礎資料となる。また、調査対象地域の人々との意見交換のためにホームページを作成してウェブ上に公開する準備を行うとともに、翌年度の一般市民向け講演の計画を多治見市とともに立案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画のうち、文献収集・アクセント語類と音声的親和度に基づいた調査語彙の選定・面接調査・調査データの分析を終えることができた。 翌年度に予定していた調査の内容の大半を今年度の予備調査の段階で行うことができたため、予定よりデータが大量になったことから分析に時間がかかり、当初の予定であった調査結果のWEB公開の作業は途上にある。計画以上の調査の進展と公開作業の遅れを差し引きした結果、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目には、平成25年度に行った調査結果の公開のための作業を進めるとともに、調査結果に基づいた多治見市の一般市民対象の講演(平成26年9月)に向けて準備を行う。さらに、調査協力者および市民向けに調査結果を簡潔にまとめた冊子を作成する。さらに、平成25年調査によって浮き出てきた調査項目(動詞・形容詞の活用形のバリエーションなど)についてアンケート調査を行い、2回の調査結果を論文にまとめる。 3年目には、それまでに収集したデータについて、各語類のアクセントと語の親和度や音節構造、母音の無声化の有無などとの関係を分析する。また、その結果について理論的にどのような枠組みで捉えられるかを検討し、論文にまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定より調査が進展したためデータ量が増大し、分析に時間がかかったため、WEB上での研究結果公開が翌年度に持ち越された。これにともない、WEBページ作成にかかる予定であった費用を翌年度に使用することとした。 調査結果のWEBページ作成と公開を翌年度に行うにあたり、持ち越された研究費を使用する。
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