2013 Fiscal Year Research-status Report
現代アイルランド語におけるオペレーターの性質の解明に関する研究
Project/Area Number |
25370428
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
牧 秀樹 岐阜大学, 地域科学部, 准教授 (50345774)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | clause / COMP / Irish / movement / topicalization |
Research Abstract |
平成25年度の目標は、アイルランド語におけるwh-in-situの分布の調査であった。文中に1つwh句(wh-operator)がある場合、表面上、英語では、文頭に移動し、また、日本語では、その必要がない。一方、Boskovic (2000)は、フランス語では、そのような環境では、wh句は、文頭に移動しても、しなくても、構わない場合があると指摘している。ただし、それには、一定の制限があり、主文に限定されている。本調査では、wh-移動言語であるアイルランド語において、文中に1つwh句(wh-operator)がある場合、埋め込み文内に生成されたwh句が、その場に留まることができるかどうかを調査した。その結果、補文においてwh句が移動しないでよいだけでなく、移動の障害となる様々な領域(複合名詞句、wh節、付加詞節)においても、移動せずに、その場に留まることができることが明らかになった。 このアイルランド語の事実と、英語、フランス語、中国語のwh句の諸性質を比較すると、次のことが言えることが分かった。つまり、wh句を認可する要素であるCOMPは、2種類あり(仮に、強と弱と言う。)、また、このCOMPが、文構築の際に、導入されるタイミングにも、2種類あり(仮に、早と遅と言う。)、これらのコンビネーションによって、言語を類別することが可能になるということである。具体的には、(1)強・早のCOMPを持つ言語は、英語、フランス語、アイルランド語であり、(2)強・遅のCOMPを持つ言語は、フランス語であり、そして、(3)弱(早・遅の区別は、決定できない)のCOMPを持つ言語は、中国語とアイルランド語である。ここで特別なのは、アイルランド語のみが、一言語の中に、強COMPと弱COMPの2種類のCOMPを有すると言う事実である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に設定した調査目標をクリアしているので。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の目標は、アイルランド語のcleft構文におけるcleft可能な句に関する調査である。まず、今年度の研究に重要な図書・研究論文を収集し、また、その時点までの言語理論の進展を把握する。続いて、アイルランド語のcleft構文に関する重要なデータを抽出し、これまでの仮説を要約する。その後、調査したいデータを作成し、O Baoill博士に電子メールを通じて、データの文法性を確認する。その結果に一貫性があれば、O Baoill博士が接触できるドネゴル在住のアイルラン語母語話者にもデータの文法性の確認をしてもらう。 続いて、獲得されたデータに基づき、現象の一般化を行った後、O Baoill博士と電子メールを通じて議論をし、助言を得ながら、一般化の再考をし、厳密な一般化を定式化する。その後、関連学会に共同作業の結果を投稿する。また、先年度、学会で発表された研究成果を関連ジャーナルにを投稿する。
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Research Products
(12 results)