2015 Fiscal Year Annual Research Report
現代アイルランド語におけるオペレーターの性質の解明に関する研究
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25370428
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
牧 秀樹 岐阜大学, 地域科学部, 准教授 (50345774)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | factive / Heavy NP Shift / Irish / movement / subject |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の目標は、次の二つの現象(アイルランド語の主語の位置からの移動に関連する現象とis trua le = regretのような事実述語が取る節からの移動に関する現象)の背後にある原理の解明である。一点目については、二つの問題に取り組んだ。一つ目は、英語では、単文に、whyと目的語wh句の二つの疑問詞が生じても、文法的であるが、whyと主語wh句が同時に生ずると、非文法的になる。一方で、アイルランド語では、どちらの場合も、文法的である。二つ目は、アイルランド語では、英語と異なり、believeなどの動詞の不定詞補文の主語の右方向への移動は、可能ではない。本調査では、これらの二つの問題は、次の仮説から導き出されると論じた。(i) アイルランド語では、英語と異なり、項(主語・目的語)位置にあるwh句は、その派生において、一貫して、その基底生成位置に留まってよいこと、(ii) 右方向への主語の移動は、両言語とも、vによって引き起こされていること、(iii) アイルランド語は、英語と異なり、believeなどの動詞の不定詞補文は、TP/IPとなることができず、一貫して、CPであるということである。二点目については、アイルランド語におけるis trua le = regretのような事実述語が取る節からの移動に関連する現象を調査した結果、以下のことが明らかになった。(i) is trua leの補文は、時制節と不定節を取ることができるが、時制節からの項(主語・目的語)疑問詞を文頭に移動させることは、可能であるが、不定節からの移動は、全て非文法的になること、(ii) 不定詞節の内部に、残余代名詞があれば、文頭に、それに対応するwh句が生じても、文法的であること。このことから、本調査では、アイルランド語の不定詞節のCOMPには、演算子が基底生成されることが示唆されると論じた。
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