2013 Fiscal Year Research-status Report
新語形成におけるプロソディーと音韻・形態・意味構造に関する実証的研究
Project/Area Number |
25370432
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 真一 神戸大学, その他の研究科, 准教授 (10331034)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 語形成 / 音韻構造 / 方言アクセント / プロソディー / アクセント変化 |
Research Abstract |
本研究は、新語を含む新しい語形成過程におけるプロソディーの実態およびその変化について、理論・記述両面から分析することを目的とするが、初年度にあたる25年度は、語形成のデータとして複合語アクセントの、また、その対照として単純外来語におけるアクセントの変化について、とくに大阪方言話者を対象とする調査をもとに分析した。いずれのデータにおいても、音韻構造をはじめとする一般言語学的性質の影響とともに、東京方言との類似性にもとづく社会言語学的変化が確認された。 複合語のアクセントについては、辞書調査および若年話者を対象としたインフォーマント調査両方によって、従来から同方言について指摘されている「特殊モーラへのアクセント回避」に対し、単に特殊モーラの種類のみならず、後部要素の音節構造、すなわち、後部要素のサイズが関与することが明らかになった。それと同時に、高年、中年、若年3世代の変化として、音節という単位へのアクセント付与に徐々に変化していることが確認された。 外来語アクセントについては、とくにアクセント核と語頭ピッチ(式)に着目し、核については東京方言との差異が小さいこと、また、東京における変化と類似の変化が特に平板アクセントと前進アクセントの増加という面において見られることを明らかにした。 式については、高年話者が基本的に高起式を用いるのに対し、話者世代が下るにしたがって低起式が増加するとともに、式決定に東京方言と類似の方策がとられるよう変化していること、具体的には、語頭音節の重さによって式決定がなされることが明らかになった。 また、式決定に対しては、世代を問わず、なじみ度の高い語に対して、低起式が選択されやすいことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的な語形成過程である複合語アクセントの変化については進められたという点では進展がある。ただし、語形成プロセスと他の領域との関わりについては進展の余地が残されている。
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Strategy for Future Research Activity |
プロソディーの分析を基本に、語形成のプロセスおよび、意味、形態、統語など、他の領域とのインターフェイスを視野に入れた分析を展開する予定である。また、異なる言語同士が組合わさった語形成についてプロソディー、他領域両面からの分析を進めていく予定である。
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