2013 Fiscal Year Research-status Report
日本語自由会話における言いさし発話を含む連鎖の規則性に関する研究
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25370438
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
荻原 稚佳子 明海大学, 外国語学部, 准教授 (10458482)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 談話研究 / 日本語教育 / 言いさし / 相互行為の制度性 / 会話の連鎖 / コミュニケーションスタイル |
Research Abstract |
本研究は、日本語コミュニケーションにおける「制度性」の中の言いさしを発見することを目的としている。日本語教育の現場で非母語話者から聞く日本語コミュニケーションの難しさに、テンポよく円滑にやり取りすることが挙げられる。一方、日本語母語話者にとっては、非母語話者とコミュニケーションをする際に、まどろっこしさや冗長性などにもどかしさを感じることがある。それらは、非母語話者の会話では、母語話者の会話に比べて一定時間内のターン数が非常に少ないことからも明らかなように、言いさし発話を含む短い発話のやり取りがなされていないことが原因の一つとなっている。本研究は、その難しさを解消するために必要な基礎研究として、日本語教育に大きく寄与することを目指している。 本年度は、これまでの研究(荻原2012)で研究代表者が収集してきた日本語による1対1の自然会話データ(1組15分、日本語母語話者18組)を使って、日本語母語話者による言いさしを含む会話の相互行為の構造を発見し会話の連鎖を抽出した。同じパターンについて少なくとも異なる5組以上のペアの会話で認められたものを取り上げる。その際、インタビュー会話で見られた連鎖(荻原2001、2004)や串田等(2005)の規則性に関する考え方や手法も参考にして、規則性を作り上げている言語的特徴(言語形式、表現)についても分析する。 それと同時に、韓国語母語話者18組による韓国語による自由会話における言いさし使用についても、日本語母語話者による言いさし使用、韓国語母語話者による日本語会話での言いさし使用と比較するため、詳細な分析を行った。 さらに連鎖の規則性が、非母語話者同士の会話や接触場面での会話にも出現するかどうかを確認するため、日本語母語話者と中国語母語話者、韓国語母語話者の接触場面での日本語による自由会話9組を収集し、文字起こしした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究(荻原2012)で研究代表者が収集してきた日本語による1対1の自然会話データ(1組15分、日本語母語話者18組)を使って、日本語母語話者による言いさしを含む会話の相互行為の構造を発見し会話の連鎖を抽出したが、その会話の連鎖を実証するための談話完成テスト作成には至らなかった。 その理由としては、同時に行っている日本語母語話者と外国語母語話者の接触場面での会話データ収集するにあたり、被験者を見つけたり、協力してもらったりすることに難航し、予想以上に時間がかかったことによる。 また、研究全体での分析に欠かせない情報として、日本語コミュニケーションの特徴と日本人コミュニケーションの特徴の違いを明確にしておく必要があり、外国語母語話者の母語による自由会話での言いさし使用の振る舞い調査を加えた。そして、この調査を先に進めたことにより、会話の連鎖に関する分析が結果的に遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は以下の通り研究を進めていく。 1.連鎖の規則性を視覚化をするとともに、連鎖の規則毎に代表的な会話例の抽出を行い、抽出した会話例をもとに、連鎖の一部を空欄にした会話を見て、その発話を類推し完成してもらう談話完成テストを作成する。 2.その結果から、言いさしを含む連鎖の規則性を確定する。 3.これまで研究代表者が収集してきた中国語、韓国語、英語母語話者による1対1の自然会話データ各18本から、確定した連鎖の規則性が存在するかどうかを分析する。 4.上記作業と並行して、英語母語話者同士の日本語による自由会話9組と日本語母語話者と韓国語母語話者・英語母語話者の接触場面での日本語による自由会話9組を収集し、文字起こしする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在までの達成度の項で説明したとおり、平成25年度に行う予定であったデータ収集と談話完成テスト作成が遅れたため、その経費として予定していた謝金分を使用することがなかったため、26年へ繰り越すこととした。 平成26年度は、予定していたデータ収集と談話完成テストの実施を行い、それに対する謝金として、次年度使用額を当てることとする。
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Research Products
(1 results)