2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370439
|
Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
中井 延美 明海大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30406384)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 佑司 慶應義塾大学, 付置研究所, 名誉教授 (90051747)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 素名詞句 / 非素名詞句 / 名詞句の形式特性 / 定的 / 不定的 / 指示性 / 英語の定表現 / 英語の不定表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本語名詞句の基本形である「本」「子ども」「学校」のような形式そのものに不可視的に付随する働きと仕組みを明確にすることである。研究代表者はこれまでの研究において、日本語には素名詞句(すめいしく)と非素名詞句(ひ‐すめいしく)という二種類のタイプの名詞句の形があることを論じてきた。本研究では、名詞句はそれ自体が概念的意味を表すと同時に、素名詞句・非素名詞句という形でもって文中に現われることによって手続き的意味を表すことに注目している。また、それらの名詞句が文中で指示的名詞句・非指示的名詞句として機能することと、名詞句の形式(素名詞句なのか、それとも非素名詞句なのか)を関連づけ、意味論的・語用論的に分析し、体系的にまとめることを目指している。 平成27年度中には、冠詞の形式自体よりむしろ冠詞の果たす機能が諸言語においてどのように実現されているか、という問題について検討した。その結果、日本語のいわゆる連体詞「ある」や指示詞「その」は、冠詞とはみなされない、という事実を再確認した。同時に、日本語名詞句の形式を探るうえで、冠詞をもつ言語との関連で重要と考えられる次のような点についても確認した。 冠詞の形式が単語、接語、接辞のいずれであるかは必ずしも問題にならない。同時に、従来、冠詞として扱われてきたものの中には、少なからず接語ないし接辞も含まれている。また、冠詞というのは、その典型的な機能が文脈依存的であるために文脈からの予測可能性が高く、また、冠詞という形式を利用しなくても、種々の手段で冠詞の機能を代替できる。 以上のことから、日本語名詞句の形式そのものに不可視的に付随する働きと仕組みが、冠詞の機能の一部を代替するものである可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究の後半で扱ってきた日本語名詞句の形式と意味についての語用論的考察において、名詞句がそれ自体で概念的意味を表すと同時に、素名詞句または非素名詞句という形でもって現われることによって手続き的意味を表し、名詞句の形がいかに語用論的解釈に寄与するかという問題を十分検討するだけのデータが量的にも範囲的にも不足している。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究の総括を行う。研究の後半で扱ってきた日本語名詞句の形式と意味についての語用論的考察において、名詞句がそれ自体で概念的意味を表すと同時に、素名詞句または非素名詞句という形でもって現われることによって手続き的意味を表し、名詞句の形がいかに語用論的解釈に寄与するかという問題の検討を継続する。
|
Causes of Carryover |
研究成果発表の機会が当初見込んでいた回数より少なかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
従来の使用計画に加え、上記支出が今後は発生する見込みである。
|