2014 Fiscal Year Research-status Report
重層的パ－スペクトの組織化と活動動詞「スル」の普遍的意味特性に関する意味論的研究
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25370447
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| Research Institution | Doshisha University |
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Principal Investigator |
山森 良枝(松井良枝) 同志社大学, グローバル・コミュニケーション学部, 教授 (70252814)
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| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | スル / パースペクテｲブ / パースペクテｲブ・シフト / ガーデンパス文 / ガーデンパス効果 / 命題概念 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多様な用法を有する動詞の「スル」形ー基本形の振る舞いを重層的なパ-スペクトを立ち上げる多値論理的な文脈に据えて観察・分析し、多様な用法の基盤となる「スル」形の普遍的な意味論的根拠を理論的・実証的に明らかにすることを目的とする。
そのために、多種多様な一次資料から「スル」の使用例を収集しデータ・ベースを構築する必要がある。初年度に引き続き今年度も「スル」の全般的な分布状況を把握するために国立国語研究所の中納言を利用する等の方法によるデータ収集を継続した（謝金・設備備品費）。
これと平行して、昨年度に着手したガーデン・パス文において「スル」がガーデン・パス効果の抑制に作用する現象について、今年度は、本現象の背後に働くメカニズムの本格的解明に焦点をあてた。具体的には、「スル」の主たる意味を、当該命題が命題の真偽の確定しない「命題概念」であることを表示する機能にあると仮定した場合と、「スル」の解釈は文脈依存的に変容するという従来説を仮定した場合、両仮説に基づいてどのような分析結果が導かれるかを比較検討した。その結果、前者の立場が支持されるという結論を得た（設備備品費、消耗品費、旅費）。この結果は、ガーデン・パス効果減少の要因を特定すると同時に、「スル」の本質的意味を解明する上でも重要な意味を持つ。
さらに、今年度は、命題の真偽が確定しない「命題概念」であることを表示するという「スル」の意味がもたらすパースペクテｲブ・シフト現象の分析結果などを含むこれまでの研究成果を日本学術振興会の出版助成を得て上梓した（設備備品費、消耗品費、旅費）。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は多様な用法を有する「スル」形ー基本形のふるまいを記述・分析する作業を通して、多様なふるまいの背後で作用する「スル」形の本質的な意味を追及することを目的としている。そのために必要なデータの収集を継続すると同時に、今年度は、「スル」のコアな意味特性が関係していると思われるガーデンパス効果を抑制するメカニズムをほぼ明らかにし得た。このことは、なお引き続き検証の必要があるものの、一定の成果と認定し得るものだと考える。
また、今年度は「スル」形が本質的に関わるパースペクテイブ・シフト現象を含めたこれまでの研究成果をまとめ、学振の出版助成刊行物として刊行することができた。
これらのことから、本研究はおおむね順調に推移していると考えられる。
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| Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度まで着手できていなかった「未来」時制と「スル」形の本質的意味との関係の解明に着手する。具体的には、前年度までに明らかにした「命題概念」を表示するという「スル」形の意味が不確定的事態であるだけでなく、話者の有する前提の(未来)への投機でもあり得る未来事象の表示とどのように関係しているのか、その関係の実態の解明に着手する。そして、内外の学会やワークショップでの発表を通じて、得られた中間成果に検討を加える（設備備品費、消耗品費、旅費）。同時に、内外の関連諸分野の研究動向に注意を払い、その摂取に努める（設備備品費、消耗品費、旅費）。
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Research Products
(3 results)
