2014 Fiscal Year Research-status Report
中国語方言におけるtone sandhi生成メカニズムに関する通時的研究
Project/Area Number |
25370467
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岩田 礼 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (10142358)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石 汝杰 熊本学園大学, 外国語学部, 教授 (50278149)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 声調 / Tone sandhi / 中和 / 調値 / 調類 / 地理的分布 / 類型 / 歴史的変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国際的にも注目を集めている中国語のTone Sandhi(声調交替)について、中国全土の方言の特徴を網羅的に整理・分析することで、その成因と歴史的変化のプロセス及び動因を検討すること、並びにTone Sandhiの基礎をなす「声調調値体系」を類型化 し、方言地図の形式で表現することで、声調変化の過程とTone Sandhiとの相互関係を明らかにすることを目的とした。 2014年度は、2013度の作業の基礎の上に,既存資料に基づいたデータ収集を進めるとともに,Tone Sandhiの類型と歴史変化のプロセスについて分析を加えた。 1)声調調値について,聴覚印象と5段階表記の客観性を確認するために,調査資料及び中国で公開された方言音声データについて,ピッチ分析を進めた。既刊方言資料について,①調値、調類に関わる基礎データを蓄積し、②Tone Sandhi及び調値体系を類型化した。 2)Tone Sandhiに関する理論的研究を整理し,現在提出している“声調中和”理論との関係を検討した。昨年度重点的に調査した東南沿岸部の方言のTone sandhiについては,タイ,台湾などで開催された国際会議において研究成果を発表した。また,“声調中和”理論に基づいて,漢語方言全体を見通せる理論的枠組みを英文論文として執筆した(投稿中)。 2015年度は研究成果の国際的発信を中心課題とする。そのために本研究テーマに関する国際会議の開催を予定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は様々な制約があり,中国での方言調査を実施する時間が十分に取れなかったが,各方言の声調に関するピッチ測定など基礎的データの集積をはかることができた。また前年度に引き続き,既刊方言資料のデータ分析を進めた。顕著な進展があったのは,Tone sandhiパターンの類型化のための中核とした“声調中和”理論の有効性を先行研究との関係で明らかにしたことである。またTone sandhiパターンの地図化によって,歴史的変化を考察する上での有力な根拠とすることができた。総じて,研究は順調に進展していると自己評価する。
|
Strategy for Future Research Activity |
2015年度は本研究課題の最終年度にあたり,研究成果の国際的発信を中心課題とする。そのために本研究テーマに関する国際会議の開催を予定している。また2014年度に英文で執筆した論文は研究成果発信の有力手段であり,国際的学術書への掲載が順調に行くよう校正に努める。
|
Causes of Carryover |
海外(中国)から有力な研究者を招聘して,本研究課題に関する諸問題を検討する予定であったが,本人が体調を崩されたこともあって,日程調整がつかず,26年度の招聘は断念した。27年度に来日していただくための経費を残すこととした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
招聘予定だった研究者を27年度(11月を予定)に改めて招聘する。上記「次年度使用額」にほぼ相当する旅費となる見込みである。
|
Research Products
(4 results)