2016 Fiscal Year Annual Research Report
Philological study on the making of Saussure's "Course in general linguisticséral linguistics" of Saussure
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25370471
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松澤 和宏 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (30219422)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 一般言語学 / 記号論 / 文献学 / 言語思想史 / 言語哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は残念ながら第三回講義の校注・訳を予定通りに刊行するには至らなかった。その最大の理由は、昨年度がソシュール『一般言語学講義』刊行100年を記念する年にあたり、フランスのパリ第3大学とスイスのジュネーヴ大学における国際シンポジウムの件キュ発表の査読委員として、また自ら発表者として積極的に参加したためである。また申請者は 2016年12月に名古屋大学文学研究科において、ソシュール学会の会長であるガンバララ教授(カラブリア大学、イタリア)やルイ・ド・ソシュール教授(ヌーシャテル大学、スイス)を招聘して国際シンポジウムを組織した。これらのシンポジウムの記録は、スイスと日本で刊行される運びである。このために校注・訳の仕事そのものは大幅に遅れざるを得なかった。しかしその反面国際的な交流によってソシュール研究への新たな観点(とりわけ語用論や認知言語学の観点からのアプローチの可能性や言語学史の捉え直し)を学ぶことができたこと、また現在取り組んでいる第三回講義の聴講ノートをそうした観点から再検討する機会を得、新たな発見の一部を国際シンポジウムの場で発表し評価を得たことは、校注・訳の仕事を今後推し進めるにあたって、極めて大きな成果であったと考える。 「ソシュール『一般言語学講義』の成立過程の文献学的研究」の研究期間において、ソシュールの自筆草稿の校注・訳を「ソシュール著作集 I」(岩波書店, 2013年) として刊行することができたのは、最大の成果であった。これは、既存の校訂版(ガリマール版、英訳版など)の不備や誤謬を糾し、言語学的および文献学的な詳細な注を付したもので、世界的にも類をみない校訂版となった。第三回講義の校注・訳を 2017年度中に刊行する予定である。
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Research Products
(8 results)