2016 Fiscal Year Annual Research Report
Aspects of social practice seen from verbal and nonverbal "inequality"
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25370499
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
片岡 邦好 愛知大学, 文学部, 教授 (20319172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 佳子 関西大学, 国際部, 教授 (90447847) [Withdrawn]
秦 かおり 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 准教授 (50287801) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コミュニケーション能力 / 不均衡 / 参与枠組み / 職場研究 / 制度的談話 / ナラティブ / 暗黙知 / 分散した認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、当初3年計画で始まったものの、代表者の学内業務多忙により1年延長せざるを得ない状況となり、2016年度が最終年度となった。本企画の当初の目的は、「コミュニケーション能力」の「不均衡」に着目し、社会言語学/言語人類学におけるマクロな視点と、相互行為/マルチモーダル分析によるミクロな視点を融合させることで、我々の日常実践を司る様々な「暗黙知」を可視化することにあった。当初の予定から1年遅れることとはなったが、研究代表者および分担者が編者となり、2017年3月に本企画の総決算となる書籍(「コミュニケーションを枠付ける」くろしお出版)を刊行することで目的を達したといえる。 申請書においては、コミュニケーションの不均衡を「職場研究」や「制度的談話」の枠組みを用いることで相互行為中に分散した認知のプロセスに着目することとしたが、研究を進める中で,その解明のためには「参与の枠組み」(Goffman)の精緻化が不可欠であることを痛感したため、そのモデルの近年の進展に寄与しうる論文集の刊行をもって、本研究を総括することが必要と考えた。 例えば会話への参加者は、ことばのみでは十分に説明できない認識や技能を実演/共演して受容者に伝授し、その都度参与の仕方を調整しつつ会話を運営している。その際、言語や非言語、さらには道具的/環境的アフォーダンスをアドホックに援用することで意図の達成に努める。それを達成するために、(1)「コード/モダリティの不均衡」;(2)「スタンス/参与枠組みの不均衡」;(3)「環境的要因の不均衡」といった点の考察が必要になる。上記書籍では、それらの点に留意しつつ、代表者/分担者のみではカバーできない部分にいては随時協力を仰ぎ、執筆を依頼した。結果的に、、「コミュニケーション能力」の「不均衡」を生み出す要因としての参与枠組みの重要性を示すことができたと考える。
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