2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370501
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
宮下 博幸 関西学院大学, 文学部, 教授 (20345648)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 構文文法 / ドイツ語 / 項構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は英語の分析を中心に発展してきた構文文法をドイツ語に適用することで、ドイツ語母語話者が言語獲得において身につけてきた構文体系を明らかにし、構文文法の英語以外の言語への応用の有効性を検討することを目的としている。今年度は現代ドイツ語の基本構文のうち[主格名詞句 + 動詞]、[主格名詞句 + 動詞 + 方向規定表現]、[主格名詞句 + 動詞 + 与格名詞句] の3つの自動詞構文を対象とする予定であったが、前年度のesを伴う構文を対象とした研究を行う過程で、この構文と関連する[経験主与格名詞句 + コプラ + 形容詞]という構文と、[経験主主格名詞句 + コプラ + 形容詞]という構文の差異の問題が本研究の眼目である、構文文法の有効性の問題を考える上で重要と思われるに至ったため、この構文を中心に研究を進めることにした。調査はコーパスを使用して行い、その結果[与格名詞句 + コプラ + 形容詞]がドイツ語における生産的な構文の一つであり、その構文と適合する形容詞に広く拡張して使われることがわかった。これは構文という単位が、ドイツ語の文法において大きな役割を果たしていることを示すものである。また本年度は次年度の予定を先取りして、これまで英語の構文文法的研究で中心的に扱われてきたいわゆる結果構文を取り扱うことにした。ドイツ語と英語の結果構文がどのように異なるのかは、構文文法の応用の可能性を知るために重要であり、早めに取り上げるべきだと判断したためである。両言語における結果構文の比較により、構文には共通点だけでなく個別言語的な制限もあることがわかった。これにより構文文法はさまざまな個別言語を対象とすることで、より理論的・実際的に実りのあるものとなることが判明したといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究においては予定とは異なる対象を扱ったが、本研究の主要な目的である構文文法のドイツ語研究への可能性の探求という点に照らしてみるなら、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は当初の予定であった[主格名詞句 + 動詞]、[主格名詞句 + 動詞 + 方向規定表現]、[主格名詞句 + 動詞 + 与格名詞句] を扱う代わりに、[経験主与格名詞句 + コプラ + 形容詞][経験主主格名詞句 + コプラ + 形容詞]という2構文と、結果構文を対象にした。これは本研究の目的に照らし合わせて、より扱いやすく適当な対象であると考えたためであるが、次年度は今年度扱えなかった3つの自動詞構文をも対象としていく予定である。
|
Causes of Carryover |
学会発表のための国内旅費(富山大学)が主催者負担となったため余剰が出た。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度の別の学会への参加・発表のための旅費に充当する予定である。
|
Research Products
(3 results)