2013 Fiscal Year Research-status Report
台湾原住民語および東南アジア、東アジア諸言語における存在・所有表現について
Project/Area Number |
25370503
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
新居田 純野 長崎外国語大学, 外国語学部, 教授 (30532915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安部 清哉 学習院大学, 文学部, 教授 (80184216)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 存在・所有 / 可能 / テンス・アスペクト / 五島方言 / タガログ語 / 台湾原住民語 |
Research Abstract |
2013年度は本研究の初年度であったため、本研究における現地言語調査を中心に行った。この現地調査では、特に「存在・所有」だけに限定せず、「可能」「テンス・アスペクト」「evidentiality」「自発」の項目も加え、調査地域も東南アジアだけではなく、太平洋地域、日本の方言も調査対象とした。2013年度に収集した調査資料は、「タガログ語」「ベトナム語」「マレー語」「インドネシア語」「アラビア語」「中国における中国語」「台湾における中国語」「韓国語」「英語」「台湾原住民サオ語」「五島方言」である。これらの調査資料により、五島方言における「可能表現」、タガログ語における「存在・所有表現」、また調査によって派生的に得られた「サオ族における日本語」について、論文発表を行なった。 特にタガログ語における存在表現では、日本語における存在・所有動詞の「ある」によって表現される「存在・所有」表現の意味的内容からの詳細な分類をもとに、タガログ語における存在・所有表現を対照比較し、日本語ではその分類があいまいである「全体・部分」との関係を表わす表現や「デキゴト」が、タガログ語では、いわゆる「存在・所有」表現とは異なる文型が使用されることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年度は現地調査による資料収集を第一の目的としたが、「タガログ語」「ベトナム語」「マレー語」「インドネシア語」「アラビア語」「中国における中国語」「台湾における中国語」「韓国語」「英語」「台湾原住民サオ語」「五島方言」と、多くの言語資料を収集することができた。また、「存在・所有」表現に関しては、日本語とタガログ語を対照比較して、タガログ語の存在・所有表現についての分析をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在継続中の言語資料収集は、他言語では「台湾原住民ブヌン族カ社方言」「台湾原住民ブヌン族ラン社方言」「フランス語」「ハワイ語」「サモア語」「トンガ語」である。日本の方言では「隠岐方言」調査が継続中であるが、今後「チャモロ語」「フィリピン方言セブアノ語」、方言では「屋久島方言」「壱岐方言」「対馬方言」の調査を行なっていく予定である。またこれらの調査を行なった言語に関して、「存在・所有」表現についての研究・分析をすすめ、「存在・所有」そのほかに「可能」表現、「テンス、アスペクト」についても、それぞれの言語表現を分析し比較をしていくことで、類型論的な視点からのそれぞれの言語の特徴についての言及をめざし、さらに人の根源にかかわる「存在」「所有」「可能」「時間」に対する部族、民族のとらえ方の共通点、相違点を表現形式との関係から明らかにしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
言語調査継続中が何件かあり、その謝金等がまだ未払いのため。 今年度は、2013年度残高にあわせて、さらに言語調査も増やして、謝金、現地調査費として使用する。
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