2015 Fiscal Year Annual Research Report
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25370508
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
井本 亮 福島大学, 経済経営学類, 教授 (20361280)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 連用修飾 / 副詞的修飾 / 形容詞 / 結果構文 / 詳述指定機能 / 日本語教育文法 / コーパス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、当初の研究計画通り、連用(副詞的)修飾関係における動作様態と結果情態の間の連続性に関する記述的研究および分析を進めた。そして、研究成果として研究論文2本「「ケーキを大きく切った」をめぐって―一体性変化の修飾」「連用修飾関係「大きくV」について―学習者の理解とコーパス」、口頭発表2件「詳述指定機能からみた日本語の結果構文とその周辺」「連用・構文・修飾をめぐって―論点の整理」を公表した。 研究期間全体を通して得られた研究成果・知見は大きく3つある:(1)連用修飾関係の修飾関係の多様性は「連用修飾」という単一の構文体が持つ「動詞が表わす事象を詳述する」という構文的意味機能(詳述指定機能)を基盤とする。多様性は動詞述語文が表わす事象と連用修飾成分の意味の間の整合性に由来し、そこには語彙情報・事象構造・百科事典的知識の複層的かつ柔軟な解釈メカニズムが関与している。いわゆる結果構文と呼ばれる構文現象も日本語にあっては〈連用修飾構文の詳述指定機能〉として説明することができる。(2)多様な修飾関係の事例には結果と様態の連続性に留まらず、情態概念が程度限定として機能するような事例が発見されたが、これは従来の副詞の分類体系からは予測できない。(3)形容詞の連用修飾は日本語教育での学習体系が未整備のままで、特にコーパスデータに頻出する用法(上記(2)の用法)ほど学習者の理解が不十分である。 上記の本研究の研究成果から、日本語学的観点(連用修飾関係の意味解釈の基盤となる構文論的研究、特に情態と程度の横断性の記述的研究)・コーパス言語学的観点(連用修飾関係の多様な用法と記述的精緻化とアノテーションへの活用)・日本語教育的観点(学習者の連用修飾構文の習得プロセスの解明と実用的な教授法の策定)の3つの観点から新たな研究課題が提起された。
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Research Products
(4 results)