2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370525
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
齋藤 達哉 専修大学, 文学部, 教授 (90321546)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本語史 / 仮名 / 表記システム / 異体仮名 / 字母 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、以下の調査・研究を行った。 1.【表記情報付き本文データの作成】 「妙一本仮名書き法華経」の6、7、8巻について、仮名字母等の表記情報付きの本文データを作成した。これにより、平成25年度作成の「足利本仮名書き法華経」(第6、7、8軸)による同様のデータとの比較対象調査が可能となった。 2.【文献調査】 (1)海外調査 2014(平成26)年9月8日、9日に、ハーバード燕京図書館(ボストン)において、法華経の訓読仮名表記資料(『妙法蓮華経』、折本8帖(全8巻)、所蔵番号TJ/1819/3405.5、ペッオールド氏旧蔵)、および、音読総振り仮名資料(『妙法蓮華経』、折本1帖(5-8巻)、所蔵番号TJ/1819/3405.2)の原本調査を行った。また、2014(平成26)年9月11日、12日に、米国議会図書館(ワシントンDC)において、仮名書き写本(『源氏物語』、写本54冊、LC control no.2008427768所蔵番号LC)の原本調査を行った。 (2)国内調査 2014(平成26)年7月から9月にかけて、国文学研究資料館のマイクロフィルム等によって、中世の仮名文字遣い意識に関する記述を有する歌書(悦目抄等30種)の調査を行った。 3.【論文執筆】 中世の仮名文字遣い意識(位置による仮名の使い分け意識)の変遷に関して、歌書(悦目抄等30種)の調査に基づいた論文(「悦目抄とその前後―字形の誤認識と幼児意識の誤類推修正―」、『専修人文論集』第96号、2015年3月、pp.183-208)を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次の点から、順調に進展していると判断した。 【1】平成26年度の「足利本」に対応させる形で、「妙一本」の表記情報付きの本文データを整備し、研究に使用できる体制を整えることができたこと。 【2】海外(北米)での原本調査が実施できたこと。 【3】中世の仮名文字遣い意識(位置による仮名の使い分け意識)の変遷に関して、研究成果を公表できたこと。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、以下の調査・研究を行う予定である。 【1】いわゆる位置による仮名字母の使い分けの実態の有無について、平成25、26年度に作成した仮名字母等の表記情報付きの本文データに基づき、統計的手法を用いて検証する。 【2】漢字と仮名の混ぜ書きについて、事態を明らかにするとともに、原理について考察する。
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Causes of Carryover |
平成26年度中に人件費として使用予定であったが、研究補助者(アルバイタ)の欠勤(病気等)によって残額が生じたものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に人件費として使用する予定である。
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