2013 Fiscal Year Research-status Report
日本語史基礎資料としての世阿弥真蹟文書の総合語彙索引の作成
Project/Area Number |
25370526
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
金子 彰 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (20126402)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 世阿弥自筆文書 / 能本 / 能楽論 / 日本語史 / 語彙総索引 / デ-タベース |
Research Abstract |
研究題目の「日本語史基礎資料としての世阿弥真蹟文書の総合語彙索引の作成」は学界が未だ持っていない資料の提示で、日本語史研究の基礎資料と必備のものである。科研費申請前の既作製のものは以下であり、未作成のものを完成させ公刊し、その後に世阿弥自筆文書を総合した語彙索引を作成することが目標である。平成25年度年は以下の研究を公刊し、また継続作業を行った。 I、自筆能本の未作成の語彙総索引稿を底本の複製本を基に作製し公刊した。(1)「世阿弥『金島書』語彙総索引稿」金子彰・冨田千晴編(新潟県ことばの会『ことばとくらし』第25 号、14~63頁、2013年10月)(2)「世阿弥自筆能本『多度津左衛門』(宝山寺蔵・応永三十一年)語彙総索引稿」金子彰・後藤貴子・金子紀子・渡邊舞篇(『東京女子大学日本文学』110号、137~169頁、2014年3月)。上記語彙総索引の構成は「語彙総索引凡例、翻字本文凡例、本文篇、本文語彙総索引篇、注記語彙総索引篇」である。続けて、以下の自筆能本の原稿を底本の複製本を基に作製、整備して平成26年度中に公刊できるよう準備した。(3)世阿弥自筆『阿古屋松』(観世文庫蔵・応永三十四年)(4)世阿弥自筆『布留』(観世文庫蔵・応永三十五年)。 II、能本で、世阿弥自筆本の上に後世人の書き入れのある以下の文書の原稿を底本の複製本を基に作製、整備して公刊できるよう準備した。(5)弱法師(宝山寺蔵・正長二年)(6)知章(宝山寺蔵・応永三十四年)。 III、自筆能楽論書の未作成の翻字本文、作成に着手した。(7)『花伝第七別紙口伝』(観世文庫蔵・応永十年代写か)、(8)『花習内抜書』(観世文庫蔵・応永二十五年)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
I、研究計画では平成25年度では、以下の既公刊の総索引稿の修訂作業を行う予定であった。これらは底本の複製本を基に点検し、誤脱等の修正を終えた。(1)自筆能本-難波梅・盛久・江口・雨林院・松浦・柏崎。(2)自筆能楽論書-花伝第六花修云。(3)自筆書状-金春太夫宛て五月十四日付書状、金春太夫宛て六月八日付書状。 II、研究計画では平成26年度で行う予定の未公刊分の総索引稿作製作業を、底本の複製本を基に行い、平成25年度中に公刊することが出来た。自筆能本-(1)世阿弥『金島書』語彙総索引稿、(2)世阿弥自筆能本『多度津左衛門』語彙総索引稿。上記語彙総索引の構成も、既公刊本と同様「語彙総索引凡例、翻字本文凡例、本文篇、本文語彙総索引篇、注記語彙総索引篇」である。 III、平成26年度中に作製し公刊できるよう計画していたものが、平成25年度中に、底本の複製本を基に原稿を作製し、整備して研究誌に投稿の準備ができている。(3)世阿弥自筆『阿古屋松』(観世文庫蔵・応永三十四年)-『東京女子大学日本文学』誌に投稿予定、(4)世阿弥自筆『布留』(観世文庫蔵・応永三十五年)-新潟県ことばの会『くらしとことば』誌に投稿予定。 IV、平成26年度中に公刊できるよう計画していたものが、平成25年度中に、底本の複製本を基に原稿を作製し、整備して研究誌に投稿の準備ができている。(5)弱法師(宝山寺蔵・正長二年)-投稿誌未定、(6)知章(宝山寺蔵・応永三十四年)-投稿誌未定。 V、平成26年度中に作製できるよう計画していたものが、平成25年度中に着手できた。自筆能楽論書の翻字本文を底本の複製本を基に着手。(7)『花伝第七別紙口伝』(観世文庫蔵・応永十年代写か)、(8)『花習内抜書』(観世文庫蔵・応永二十五年)。
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Strategy for Future Research Activity |
I、既公刊分の総索引稿を、底本の複製本を基に修訂作業を行い精確な語彙総索引にする。特に朱点等、世阿弥の表記に独特なものに注意して作業を行う。自筆能本-(1)世阿弥『金島書』語彙総索引稿、(2)世阿弥自筆能本『多度津左衛門』語彙総索引稿。上記語彙総索引の構成も、既公刊本と同様「語彙総索引凡例、翻字本文凡例、本文篇、本文語彙総索引篇、注記語彙総索引篇」である。 II、研究誌に作製語彙総索引稿を投稿する。事前に作製原稿を底本の複製本を基に修訂作業を行う。自筆能本-(3)世阿弥自筆『阿古屋松』(観世文庫蔵・応永三十四年)-『東京女子大学日本文学』誌に投稿予定。(4)世阿弥自筆『布留』(観世文庫蔵・応永三十五年)-新潟県ことばの会『くらしとことば』誌に投稿予定。 III、研究誌に語彙総索引稿の投稿の準備をする。底本の複製本を基に修訂作業を行う。(5)弱法師(宝山寺蔵・正長二年)-投稿誌未定。(6)知章(宝山寺蔵・応永三十四年)-投稿誌未定。 IV、翻字本文、語彙総索引の第1次稿の作製を行う。自筆能楽論書-(7)『花伝第七別紙口伝』(観世文庫蔵・応永十年代写か)、(8)『花習内抜書』(観世文庫蔵・応永二十五年)。 V、既作製語彙総索引稿を合綴する作業の準備を行う。「世阿弥真蹟文書総合語彙索引稿」のデータベース作製が最終目的であるので、掲載する各文書ごとの符号付け作業を立案し、実行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
支出項目の旅費としては、世阿弥真蹟文書の現地調査費用を当てることを計画していた。他の物品費、デ―タ―入力の謝金等の支出が多くなった結果、文献調査の一回分の旅費としてはこの額では不足する結果となったので、次年度の旅費費用にこの額を補填することにした。 世阿弥真蹟文書の語彙総索引作成計画では、なんと言っても現地に行って原本の実地調査が必要である。そのため、旅費の費目を充実させて研究を実行したい。そして原本調査に基づいて作成した原稿を完成させ、その入力作業を一層進展させたい。入力作業では自己でも行うが、入力補助を得て作業を行いたい。その謝金等の費用も確保して、研究成果の充実に励みたい。物品費として、世阿弥真蹟文書関係の写真版等を入手して、資料の充実を図りたい。
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Research Products
(5 results)