2015 Fiscal Year Research-status Report
日本語史基礎資料としての世阿弥真蹟文書の総合語彙索引の作成
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25370526
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
金子 彰 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (20126402)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 世阿弥真蹟文書 / 世阿弥自筆能楽論書 / 世阿弥自筆能本 / 世阿弥自筆書状 / 小謡集 / 語彙総索引 / 中世芸能 / 中世語 |
Outline of Annual Research Achievements |
1、平成27年度に作成し、研究誌に投稿した世阿弥能本は『弱法師』『知章』2本である。原稿の作成段階で、所蔵先の奈良県生駒の宝山寺の世阿弥真蹟展観(8月)に参加し、原本の本文を確認して正確を期した。又、原稿の作成途中で研究誌に未投稿のものは、『三道』(新潟県吉田文庫蔵)と『花伝第七別紙口伝』『花修内抜書』(共に観世文庫所蔵)である。吉田文庫は所蔵者の許可の元に原本調査、写真撮影を行って本文を確認している。観世文庫は原本の閲覧調査が叶わず、観世家のアーカイブ等での画像の確認を行っている。更に、平成27年度までに、世阿弥真蹟文書の翻字本文、語彙総索引を作成し研究誌に投稿済のものを再点検し修訂を行って来ているものは次である。(1)自筆能楽論書―『風姿花伝』巻第六(観世文庫蔵)。(2)自筆能本―『柏崎』『盛久』『江口』『雲林院』『多度津左衛門』(以上宝山寺蔵)。『難波梅』『松浦之能』『布留』『阿古屋松』(以上観世文庫蔵)。(3)自筆書状―『金春禅竹宛』(宝山寺蔵)。(4)小謡集―『金島書』(吉田文庫蔵)。それぞれ宝山寺、吉田文庫等で再度の原本の閲覧調査を継続して実施中である。 2、平成28年度に作成し研究誌に投稿するものは、自筆能楽論書『花伝第七別紙口伝』『花修内抜書』(以上観世文庫蔵)、『三道』の3点である。翻字本文、語彙総索引の第一次稿の修訂作業を行い完成稿作成を目指している。又、既刊の各文献ごとの総索引を合綴し、『世阿弥真蹟文書総合語彙索引』のデーターベ―ス作成に取り掛かっている。各文献への略号付け、語彙索引の配列等を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は平成27年度末で完成し、修了の予定であった。語彙総索引作成、実地文献調査の実施、原稿作成が停滞し、平成28年度完成を目指してに延長が認められたものである。平成28年度は未完成の3文献と、既作成のすべての語彙総索引の合綴を遂行し、予定通りに研究を実施するものである。
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Strategy for Future Research Activity |
1、作成し、公刊した語彙総索引集の精度を上げることを目指したい。世阿弥真蹟文書は朱書、声点、小字書き、多くの訂正文書の書き入れ等が存在し、複雑極わまりない。それらを丁寧に補った『世阿弥真蹟語彙総索引』を中世語研究、芸能研究の基礎資料として学界に提供することを目指したい。世阿弥の表記に忠実を旨とした本文、語彙索引を提供する。 2、未完成の自筆能楽論書『花伝第七別紙口伝』『花修内抜書』(以上観世文庫蔵)2点は所蔵者の観世文庫での閲覧調査が叶わないので、観世文庫アーカイブ等を検索して真蹟本文の把握に努めたい。 3、世阿弥関係文書を所蔵する、奈良県生駒山宝山寺、新潟県阿賀野市立吉田東伍記念博物館、新潟市吉田文庫等に調査に赴き、原本の閲覧等を実施し、複製本では把握し難い箇所の補訂に努め、正確な資料提示に努めたい。
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Causes of Carryover |
1、研究代表者の予定の研究が遅延したことが理由の一つである。本研究は単独で世阿弥真蹟文書を翻字し、品詞分解を行い、語彙総索引を作成するものである。次にその作成した原稿の入力を研究協力者の学生に依頼するものである。未作成の文献の原稿作成が遅延し、依頼予定の入力作業も遅れたのである。本研究が大事にする世阿弥文献の原本を実地に閲覧調査して、正確な翻字本文を確定することも十分に出来なかった。 2、既作成の各語彙総索引を合綴した『世阿弥真蹟文書総合語彙索引』の作成作業も、大量な語彙の集積や整備に時間を要し、完成に至っていない。更に、長時間に渡った作業のため、各索引毎の書式を統一することも必要になり、整備作業が生じたことも遅延の理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1、研究代表者の作成した索引の原稿を、パソコン入力のための作業に学生の協力者に謝金を使用する。又、完成原稿の点検は研究代表者が行うが、時間の都合で研究協力者の助力が必要となる場合がある。そのために謝金を使用する予定である。 2、世阿弥関連文書を所蔵する奈良県生駒の宝山寺、新潟県阿賀野市立吉田東伍記念博物館、新潟市の吉田文庫等へ出張し、協力者も同道して原本調査、写真撮影等を行う。その出張経費に前年度未使用分を出費する予定である。
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Research Products
(8 results)