2015 Fiscal Year Annual Research Report
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25370527
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
福島 みどり (天野みどり) 大妻女子大学, 文学部, 教授 (10201899)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自動詞構文 / 主格 / 接続助詞 / 接続詞 / のが / それが / 構文的意味 / 構文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「構文」の意味という慣習的な知識が、実際の言語理解・生成のプロセスにおいて重要な役割を果たすということを、日本語自動詞構文の考察を通し明らかにすることである。 最終年度は、状況・状態を主格で表し、述語として変化自動詞をとる、「サマ主格変遷構文」を考察した。「サマ主格変遷構文」に属すると考えられる文の中には、その述語が変化自動詞ではない場合など、何らかの点で逸脱的な特徴を持つ場合がある。日本語母語話者は、「サマ主格変遷構文」の意味を構文単位で慣習的に修得し、こうした逸脱的・拡張的言語使用を行っていると考えられる。このことを明らかにするため、日本語母語話者と日本語学習者(=非日本語母語話者)に対する二種類の調査を行い、意味解釈プロセスを考察した。第1の調査は、逸脱的な「のが」文・「それが」文を、「~が」で中断した課題文に対し、その後続を予測させる調査、第2の調査は、逸脱的な「のが」文・「それが」文の実例に対し、意味解釈を施した上で内容を補足したり言い換えたりして説明させる調査である。調査協力者は日本語母語話者65名(第1調査)・64名(第2調査)、日本語学習者として韓国語母語話者47名、中国語母語話者40名である。 調査の結果、予測通り、母語話者は可能な予測・意味解釈を幅広く選択するわけではなく、特定の後続予測・意味解釈に集中することがわかった。これは母語話者が逸脱文の意味理解に際し特定の構文に所属するものと仮説的に推論し、逸脱部分を調整的に意味理解していることを示すものと考えられる。
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