2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25370530
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
朴 真完 京都産業大学, 外国語学部, 准教授 (90441203)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 朝鮮資料 / 朝鮮語学習書 / 朝鮮情報書 / 『復文録』 / 草梁館語学所 / 復文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は東京大学小倉文庫所蔵本『復文録』(写本、2巻)を中心に、草梁館語学所(1873.10~1880.4)で実施した復文(retranslation)による教育の内容と方法を分析し、19世紀言語教育における新たな試みの実態に迫った。 語学生の中村庄次郞(1855~1932)が作成した『復文録』148条の記事は全て、語学所で実施した復文の練習とその結果物の記録であり、本書を通して試験の内容及び評価方式、そして誤答に対する添削内容まで確認できる。 添削された箇所は助詞と語尾の修正はもちろん、敬語法、文章構造に至るまで、広範囲にわたっており、主に実際の会話でよく使われる表現で直されている。このような傾向は、原文の引用態度からも確認されるが、典拠書の原文の一部は文語体が口語体に改編されているという点で注目される。 『復文録』の記事の中には、試験簿と日記簿を基に作成されたものが存在するため、言語教育が実際どのように行われていたかについて知ることができる。そして一部の記事には、外交交渉に当たるための情報として、対馬で編纂された朝鮮語学習書(『全一道人』『交隣須知』『隣語大方』『惜陰談』)や朝鮮情報書(『御尋朝鮮覺書』『北京路程記』)から採録された内容が見られ、文学作品や歴史書から抜粋された内容も含まれている。これに対して典拠書を特定できない記事も存在するが、その場合は概ね朝鮮側の通訳官との対話から直接入手した情報と推定される。
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Research Products
(4 results)