2014 Fiscal Year Research-status Report
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25370540
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 英光 北海道大学, 文学研究科, 教授 (10142663)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | indirect directives / directives / imperative / cognitive linguistics / frequency / argument structure / verb / request |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度(25年度末)の科学研究費報告では「今後の研究の推進方策等」を以下の4点に絞った。(i) 間接指令構文の基礎データ(912例)の情報の補足・改良を施し本研究に不可欠な話者と聞き手の社会関係の情報を追加する。(ii)基礎データでは使用頻度の低い間接指令構文のデータ数が不十分なため大規模コーパス(COCA)を用いてデータを補充する。(iii) Force Exertion理論(6パラメター分析)の枠組みで基礎データの理論的分析を進め、当該研究者の仮説―『命令文回避の原理: 要求する行為のコストが高くかつ聞き手にとって応じる義務が低い時に自分の利益のため裸の命令文を使うことは避けよ ー ただし緊急時を除く』(Takahashi 2012: 111)―の検証を進める。(iv)使用頻度の高い動詞とその用法(量的分析)とForce Exertion理論(の6パラメター分析)からの個々の構文の特徴付けをまとめる。 26年度では上記(ii)と(iv)の調査に集中的に取り組み、使用頻度が特に高い6種の間接指令構文の動詞と項構造の分析を大きく進展させた。調査結果は2014年8月に講師を務めた日本言語学会夏期講座『認知言語学』(名古屋大学)、2014年11月に司会・講師を務めた日本英語学会シンポジウム『頻度と言語研究を考える』(学習院大学)、にて発表・報告した。(iii)(および(iv))についてはI wonder if you、I’d appreciate it if you、can youの三構文について分析し仮説の妥当性が検証された。これらの研究成果は研究業績表の中の“A usage-based analysis of indirect directives in English”(1)~(3)の三論文にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
25~26年度の膨大なデータ分析のおかげで主要な目標である間接指令文全体の特徴と間接指令文間の共通点と相違点の大枠が明らかになったことと、今後の研究の発展と拡張をうながす予想外の新たな知見が得られたことがこの判断の理由である。 第一に、命令文に見られた「動詞+1人称代名詞」連続(let me, tell me, give meなど)は六種の代表的間接指令文(can you, could you, will you, would you, I want you to, why don’t you)に見られることが明らかになった。第二に、「動詞+1人称代名詞」連続で優先される動詞は命令文と6つの間接指令文間でも共通点と相違点の両方があることを明らかにした(例えば、marry meはwill you、help meはcan you/will youと、excuse meはwill you/would youと結びつく頻度が高い)。第三に、調査済みの間接指令文には命令文に見られる間投詞用法と談話構成機能がほとんどないことを発見した。第四として、指令文でもっとも高頻度の動詞tellのcan you構文の優先的な項構造は平叙文とも命令文とも異なり独特のパターンであることが判明したが、これは当初まったく予測しなかった結果であり一層の調査に価する。第五に、(iii)Force Exertion理論(の6パラメター分析)については三構文の検証が終わっている。同時にDISTANCEという新たなパラメターの追加の必要性が明らかになった。最後に構文研究で謎とされてきた「受益的重目的語構文(benefactive ditransitives)(例―Hit me a homerun!)が間接指令文では容認されず命令文でのみ容認される事実に対して明確な仮説を立てるに至った。 以上から研究の達成度を「予想以上」と判断することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度(とそれ以降)では研究を以下の3点に絞って進める。第一に、論文“A usage-based analysis of indirect directives in English”が(1)から(3)まで進んでいるがwill you、I want you to、why don’t youなど他の間接指令構文について行い(4)以降を順次発表して行く。第二に、指令文でもっとも高頻度の動詞tellの優先的な項構造がcan you構文では平叙文とも命令文とも異なり独特のパターンであることが判明したが、これ他の間接指令構文ではどのようなパターンが優先的かを調査しその動機を探るする。第三に、Benefactive ditranstives(受益格二重目的語構文)の分析を深化させる(Takahashi (in preparation) “Tell me, can you give me, and will you marry me: The interactions between verbs and directive constructions”で進行中)。 上記の成果は、2015年7月開催の国際認知言語学会第13大会(“Another glance at verbs and constructions: A perspective from English directive constructions”)、と引き続き開催される国際語用論学会第14回大会(“A new look at indirect request forms in English: When each form prefers to occur and what it prefers to convey”で発表し、その後も国内・国外の研究集会にて随時発表する。
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