2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25370545
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
土橋 善仁 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (50374781)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | syntax-phonology mapping / phase / prosodic hierarchy / discourse particles / multiple spell-out |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、統語音韻写像の観点から、音韻部門の計算体系の具体的なモデルの構築を探る研究がなされている。本研究では、フェイズにもとづく多重書き出し理論のもと、韻律階層(Prosodic Hierarchy)の構築という観点から、音韻部門の計算体系モデルの構築を目指した。韻律階層は表示上のテンプレートではなく、統語音韻写像の過程において派生的に構築されると提案し、この派生が計算効率という一般性の高い原理により制限されていることを示し、音韻部門内の派生過程にもとづいて、韻律階層の諸特性に原理的説明が与えられ、音韻部門の自律性(autonomy)が、提案する計算効率の原理から説明することを目指した。 研究初年度に、上述した計算体系のモデルを論文として国際学術誌に掲載した。その後、研究実施計画に沿って、このモデルの経験的妥当性を検証するために、朝鮮語における談話接辞の分布の分析を試みた。この研究は、Changguk Yim氏と共同で行われた。この談話接辞の分布は、これまで原理的な説明が与えられておらず、事実の記述の域を出ていなかった。本研究では、音韻部門内の派生の中間段階で談話接辞が挿入さるという分析を提示し、談話接辞の分布に原理的な説明を与えた。さらに、この分析のもとでは、従来、記述的にも例外とされてきたある種の副詞などに対する接辞の付加の可否に対しても、例外規定などを設けることなく、自然な説明がなされることを示した。この研究の成果は国際学術誌上にて発表された。また、一見すると似ている日本語の談話接辞の分布との比較検討を始め、その予備的な研究成果は、国内学会の全国大会で口頭発表した。
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