2014 Fiscal Year Research-status Report
認知言語学から見た進行形の制限に関する通時的・共時的研究
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25370555
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
後藤 万里子 九州工業大学, 情報工学研究院, 教授 (20189773)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Noah Webster (1784) / Lindley Murray (1799) / 規範文法 / 18世紀英国社会 / 進行形の本質 / 進行形の制限 / Pickbourn (1789) / Knowles (1796) |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、資料収集及び国内外での学会発表を通じて、手応えのある収穫があり、2本の論文執筆した。 <4-7月>7月迄の収集資料から得られた論考を、ベルギー、Leuvenで開催された第18回国際英語史学会で発表し、参加者からの情報・コメントや意見交換、ベルギー王立図書館、大英国図書館での資料収集、を通じて、新知見を得た。 <8-9月>ECCO (Eighteenth Century Online Collection)等で、論考の核心となる事実及び文献を発見した。それを基に9月1日に第30回福岡認知言語学会で発表し、有益なコメントを得た。 <10-3月>それ迄立てていた仮説の検証・考察を行い、新たな文献からの情報を積み重ね論文を執筆した。国際語用論学会にabstractを出し採択された。3月は、更に近代後期の多様な文献、特にMurray/Webster研究、それらの接点に関するものに意義深い収穫があり、研究の方向性を確認し仮説の実証の駒を進めることができた。2015年7月の学会への準備を始めた。 <成果>Murrayの、English Grammarの第4版と翌年の第5版とで180度転換した、進行形に関する言及、の背景を、(1) Lowth (1762-1799), Webster (1784, 1790), Coote (1788), Pickbourn (1789), Knowles (1793, 1796)を含む18世紀の文法記述、書評との関係、 (2) 18世紀の英国社会における規範文法の役割、執筆動機/経緯、教育のあり方、(3)18世紀のテキストおける実際の例の観察を通して捉えた進行形の本質的な意味、という3つの側面から追求し、stative progressiveが自然な英語には連綿と存在してきた事実や、進行形の制限規則が人為的に発現/浸透したことを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1)コーパスや様々な方法で、進行形の実例、18世紀から現在迄の英文法書を予想以上に多角的に精査することが出来た。 2)先行研究をupdateし、認知言語学を中心とした視点から、dynamismとcontinuumをなすstativityの概念輪郭を見定めた上で、時代を通じたthe stative progressiveを同定し、更に、その使用文脈/用法、単純形との役割分担を司る意味機能特性等をある程度洗い出すことができた。 3)進行形の特性に関するWebster (1784: 23-26) とVisser (2002: 1924)との説明の類似性、かつそれらが的確な洞察であり、全ての使われ方を包括的に説明できる可能性をかなり詰めることができた。今後これを認知言語学的に敷衍すれば、進行形の典型的な使われ方や、その本質、同構文が口語に多く時代と共に頻度が増加した事実、stative progressivesの頻度が低い事実、制限された理由、なども説明できる目処がついた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策、 1)古文書でも1810年以降では、現在漸次的に電子データ化が進み、コーパスの強みであるtag検索が可能なものも増えて来たが、18世紀の場合まだまだ本研究に資する資料は、数が限られている。その為、PDF及びそれぞれ所蔵図書館で現物文献調査に当たり、進行形に関する18世紀末の様々な英米語母国語話者の感覚を示すデータ入手に努める。 2)昨年の調査で発見した、Webster (1784)の記述とその後の変化説明付け得る資料、等を中心に、学会発表時の参加者からのフィードバック、海外の研究者との意見交換等を通し、発掘を目指す。 3)研究の方向性に歴史語用論的視点を加え、更に、昨年存在を知ったPrescriptivism関連の国際学会発表の為の準備を進める。
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Causes of Carryover |
講義がなく管理運営業務が比較的少ない年度末に集中して研究を行い、必要資料の入手を図るため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際学会参加費及び、入荷が新年度になった書籍の購入。
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