2014 Fiscal Year Research-status Report
英語における形容詞、名詞から構成される名詞句の修飾関係と、その意味拡張について
Project/Area Number |
25370559
|
Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
金澤 俊吾 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (70341724)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 形容詞 / 修飾 / 類像性 / 転移修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、英語における名詞句[A-N]が、意味的に様々な修飾対象と修飾関係を結んでいることに注目し、各事例間にみられる連続性を明らかにすることにある。2年目である平成26年度は、COCA, COHAを用いて「メトニミー的に名詞を修飾する事例」の1つである、英語における形容詞が、a cup/glass of NPに代表される助数詞を伴う名詞句を修飾する際の意味的特徴について考察した。具体的には形容詞がcup, glassなどの入れ物を修飾する場合、of以下の名詞句の位置に生起する飲み物を表す修飾する場合にそれぞれみられる意味的特徴を検討した。 その結果、形容詞が助数詞を伴う名詞句を修飾する際、①cup, glassに代表される、入れ物を表す名詞を修飾するパタン、②coffee, beerに代表される飲み物を表す名詞を修飾するパタン、③入れ物を表す名詞、飲み物を表す名詞どちらも修飾できる3つのパタンに分けられることを明らかにした。 その上で、これら3つの修飾関係には、形容詞が当該名詞句を修飾する際、修飾対象に最も近い位置に生起するという類像性(iconicity)が関与すること、修飾対象とされる名詞のクオリア構造内の意味役割が共起する動詞と密接に結びつくことを明らかにした。 また、形容詞が名詞によって表される実体の性質を表す事例から、名詞によって表される実体と関わる動作や事象を修飾する事例に至るまで連続体(continuity)を成すことを明らかにした。さらに、当該表現を通時的に検証した結果、形容詞が入れ物名詞を修飾するパタンが1820年代から1900年代までに多くみられるのに対し、形容詞が飲み物を表す名詞を修飾するパタンは、1950年代以降急激に多くみられることが明らかとなった。 本研究の成果の一部は3件の研究発表にて行われている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、「メトニミー的に名詞を修飾する事例」に関して、経験的事実の新しい発掘を行い、その分布について通時的に頻度を調査することができた。一方、特に「主要部の反転がみられる事例」、「形容詞が後続する名詞以外の要素と修飾関係を結ぶ事例」に関してさらに新たな経験的事実の発掘、検証を進めることで、各パタンにみられる意味的特徴を明らかにする。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は本研究の最終年度となる。本研究の目的である、名詞句[A-N]の事例間の修飾関係と意味拡張の過程を明らかにするために、2年間で検証してきた事例に加えて、経験的事実をさらに発掘、整理し、記述的一般化の精緻化を図る。その上で、いずれの事例においても英語における限定用法の形容詞の意味的原則に従うことを示していく。
|
Causes of Carryover |
26年度は当初の計画通りおおむね執行できたが、25年度からの繰り越し分に関して、図書、文献資料等の購入が、予定よりも少なかったため次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
早めに書籍等の購入計画をたて、計画的に予算を執行する予定である。
|
Research Products
(3 results)