2015 Fiscal Year Research-status Report
英語における形容詞、名詞から構成される名詞句の修飾関係と、その意味拡張について
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25370559
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
金澤 俊吾 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (70341724)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 形容詞 / 限定用法 / 意味的連続性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の3年目である平成27年度は、「主要部の反転がみられる事例」に分類される、形容詞+名詞sipから構成される名詞句が生起する、3つの構文(①軽動詞構文、②様態副詞構文、③同族目的語構文)を検討した。具体的には、「飲む」場面の詳述性の違いが、これら3つの構文の言語化の違いに反映されると仮定し、各構文に見られる意味的特徴と、各構文間の意味的連続性について考察した。 その結果、各構文に見られる詳述性の違いは、形容詞と名詞sipとの間に見られる修飾関係と、各構文内に見られる、当該名詞句と動詞の意味的分業の違いの相互作用から生じることが明らかとなった。軽動詞構文は、詳述性が最も低い構文であり、3つの構文の中で最も頻度が高い。当該構文に生起する名詞句において、形容詞は、「飲む」事象や動作、動作主の心理状態、飲み物の状態や量を表すに至るまで、様々な対象と修飾関係を構築する。しかし、生起する動詞は、基本的には軽動詞takeに限られる。 一方、同族目的語構文は、詳述性が最も高く、3つの構文の中で最も頻度が低い。生起する形容詞の修飾対象は、飲む動作と飲み物の量に限られるが、生起する動詞は、drinkや sip, swallowなど、名詞sipと意味的に矛盾しない範囲内で様々な「飲む」動作を表す。様態副詞構文の場合、詳述性、頻度ともに先の2つの構文の中間に位置し、形容詞は、動作の様態や飲み物の量を表すことで、飲み物を「飲み切る」動作の過程を修飾する。また、当該構文には、drinkやdown, finishなどが生起する。 なお、これまでの本研究の成果の一部は、論文2編、研究発表1件によって行われている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で取り扱う予定にあった事例研究は、概ね分析を進めてきている。しかし、今年度当初予定していたよりも業務等が重なり、本研究で得られた研究成果を、論文としてまとめる時間が十分にとれなかった。この点において、やや遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は、本研究で得られたこれまでの研究成果を、論文にまとめ、発表する。また、これまで、検証してきた事例を精査し、新たな経験的事実を発掘できるところがあれば、さらに発掘し、整理する。その上で、得られた結果に関して、記述的一般化の精緻化を図るとともに、新たな知見を提示する。
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Causes of Carryover |
26年度からの繰越分を優先的に執行し、27年度分の予算についても、図書、文献資料等の購入していたが、当初の予定よりも購入が少なかった。その結果、次年度使用する額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
購入する書籍等の計画を早めに立てて、速やかに予算を執行する予定である。
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Remarks |
補助事業期間延長承認 平成28年3月22日
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Research Products
(3 results)