2013 Fiscal Year Research-status Report
日本語の配慮表現に関する学習者コーパスの作成と対照研究
Project/Area Number |
25370576
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
牧原 功 群馬大学, 国際教育・研究センター, 准教授 (20332562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 政紀 創価大学, 文学部, 教授 (80220234)
小野 正樹 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (10302340)
俵山 雄司 群馬大学, 国際教育・研究センター, 講師 (30466685)
大和 啓子 群馬大学, 国際教育・研究センター, 講師 (60640729)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 配慮表現 / ポライトネス / 学習者コーパス / FTA |
Research Abstract |
本研究は、①日本語学習者の日本語における配慮表現の習得状況を把握するための課題を設定し、学習者コーパスを作成する、②同様の課題による日本語母語話者のコーパスも作成し、学習者コーパスと比較することにより、日本語母語話者の配慮表現の習得・運用の在り方について、対照研究の観点から検討する、③日本語学習者の配慮表現の習得・運用が、日本語と他言語とでの配慮表現の表現形式の異同や、教師側のビリーフ、学習者の学習ストラテジーとどのように関連しているのかを調査する、という3点を目的とするものである。更に、これらの研究を通じて、日本語学習者の配慮表現習得の問題点を明確化し、日本語教育に応用できる日本語の配慮表現の体系的な整理を目指す。 本年度は研究計画に沿って、上記①②を行うための作業として調査項目の策定を進めた。まず、研究代表者・研究分担者とで、これまでの各自の研究成果を統合すべく研究会を複数回開催し、本課題遂行のための共通理解を得た。あわせて、グランドデザインを策定し、どのような調査項目についてデータを集め配慮表現データベースを作成するべきかを検討した。具体的には、日本語学習者の配慮表現の習得状況を調査するための調査項目、例えば配慮表現として機能するどのような文法カテゴリーを調査対象とするか、どのような発話機能を必要とする文の生成を求めるかなどを決定した。これらの検討を経て、実際に日本語学習者に回答を依頼する課題の作成を進めた。課題は、FTAを伴う発話を行わなければならない状況を設定し、そこでどのような発話を行うかを調査するものとなっている。例を挙げると、ある文章を読んで意見を述べる、ある意見に反対する、助言する、依頼する、などの場面でどのような文章を作成するかを見るというものである。その後、群馬大学において留学生を対象にパイロット調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では本年度中に調査項目の策定作業を終える予定であったが、実際には調査項目案を作成し、それを用いたパイロット調査を実施するにとどまった。現在、その結果をもとに修正作業を行っているが、予定した達成度に比してやや遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は日本、中国、韓国、タイにおいて本調査を実施する。日本では研究代表者、研究分担者の所属する群馬大学、創価大学、筑波大学において実施するため、データ収集は円滑に進むと考えられる。また、日本で学ぶ学習者と海外で学ぶ学習者との違い、母語話者毎の違いが検証できるよう、各課題について、中国、韓国、タイでそれぞれ50名程度の調査データを収集することを目指す。なお、海外で調査を実施するにあたっては、学習者のレベル、日本語学習時間、男女比等に留意し、母語を異にする学習者間で比較対照が可能なデータを収集できるよう配慮する。これらの国でのデータ収集は海外共同研究者の協力の下で進めることとなっており、遂行に支障はない。 調査データを収集した後は、それらのデータをデータベース化する作業を進める。データベースはクラウドに配置し、研究代表者、研究分担者、海外共同研究者とで自由にアクセスできる環境を作る。その後、研究代表者、研究分担者とで学習者の配慮表現の使用状況について分析を行う。あわせて母語話者のデータも分析し、外国人学習者と母語話者とでの配慮表現の使用の在り方の違いを分析する。 また、海外共同研究者は、それぞれの母語ではどのような配慮表現を用いるかを検討し、母語話者毎に共通して見受けられる習得上の問題点が何に起因するのかを考察する。 上記の研究を円滑に進めるためには、研究に関わる者が同じテーブルに着いて議論することが重要だと思われるが、研究代表者、研究分担者、海外共同研究者とで、日本語教育国際研究大会2014(シドニー)でパネルディスカッションを行うことになっており、その際に検討の機会を得ることができる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、研究代表者、研究分担者、海外共同研究者とで国際学会において研究発表を行い、そこで本研究の研究計画等について意見交換を行うことを予定していた。しかしながら、参加を予定していた日本語教育国際研究大会が2014年度の開催となったことから、執行を計画していた旅費が使用されなかった。 2014年7月にシドニーで開催される日本語教育国際研究大会に、研究代表者の牧原、研究分担者の山岡、小野、海外共同研究者の李が参加しパネルディスカッションを行う予定である。昨年度使用しなかった研究費は、本学会参加のための旅費として執行する。
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Research Products
(8 results)