2014 Fiscal Year Research-status Report
第二言語としての日本語の語用論的能力の習得に関する縦断的研究
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25370578
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中間言語語用論 / 縦断研究 / 依頼 / 謝罪 / 勧誘 / 日本語学習者 / 発話行為 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、平成24年度11月より実施している日本語学習者10名への2調査(5名は平成24年11月より、他5名は平成25年11月より実施)、すなわち、①発話行為に関わるストラテジーと言語表現の調査、②学習環境要因調査の引き続き、3ヶ月毎に行った。ただし、調査対象学生の半数近くが海外留学により、日本国外に留学したため、調査は、一人の学習者につき、12ヶ月とした。本研究におけるこれらの調査は、中間言語語用論の縦断研究で、これまで日本語学習者に対する中間語用論の縦断的研究は行われてこなかった。したがって、本研究において、1年にわたる中間言語語用論に関わる言語データを収集したことは、学習者の語用論の発達を知る上で貴重な資料となる。 データ収集及び分析対象の発話行為は、依頼・勧誘・謝罪・提案で、データ収集方法としては、先行研究で多く用いられているクローズド・ロールプレイを採用した。社会的・状況的な変数の影響は、クローズド・ロールプレイの状況設定を変えることで検証している。 分析は、意味公式、及び、先行研究で提唱されているCCSRPという枠組みを採用しているが、それらは中間言語語用論の縦断的研究のための枠組みではないため、適宜、修正をし、分析のためのコーディングの判断としている。コーディングの信頼性を検証するために、日本語母語話者2名に研究協力者として、分析に関わってもらった。結果、コーディングの信頼性係数(α)は、9.6と高い数字が出た。 現在までに、収集したデータの文字化は全て終了している。本年度(H26年度)は、分析に基づいて「依頼」「謝罪」「勧誘」のコーディングを終了した。 研究成果は、依頼のsupportive movesの中間言語語用論について日本語用論学会大会のprocedingsを執筆したこと、応用言語学会(国際大会)において、依頼のhead act表現の中間言語語用論的発達についてポスター発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分析対象の発話行為のデータ収集は全て終わり、文字化も終了している。 分析についても「依頼」以外に、「謝罪」「勧誘」の意味公式の分析、及び、head act表現の分析が済んでおり、研究発も国内外で順調に行っている。 ただし、論文が来年度(平成27年度)中に採択されるようにするには、執筆の進度を進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、データの詳細な分析を行い、依頼だけでなく他の発話行為(謝罪、勧誘、提案)についても、研究発表と論文執筆を行う予定である。 研究計画時の予定では、本研究において収集したデータ(音声データと書き起こしデータ )をweb上にて公開する準備を行い、閲覧は、申請者により許可された研究者だけが閲覧できる設定にする、としていたが、Webの構築と公開には相当の作業がかかることが予想されるため、まずは、研究成果の発表と論文執筆に力を注ぎたいと考えている。、
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Causes of Carryover |
物品費及び人件費が当初の予定よりかからなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究発表のための交通費などにあてる予定である。
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