2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370580
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
鈴木 美加 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 准教授 (90226556)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊田 道子 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 研究員 (20711683)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 読解 / 多読 / 日本語教育 / 眼球運動 |
Research Abstract |
2013年度は、多読を取り入れた読解学習の効果を調べる目的で、コース開始時と終了時に調査(読解実験)を行った。調査協力者は中級レベルの日本語学習者(コース開始時46名、修了期41名)で、学習者は大きく3つのレベルに分かれ、中級前半レベル、中級半ば、中上級レベルのいずれかである。本調査では、文章読解中の協力者の眼球運動の記録を3.3ミリ秒単位で取ることのできる機器を使用し、文章中の注視箇所及び跳躍箇所(サッカード)の記録・分析がきめ細かく行えるようになった。また読解後の学習者による読解内容の自由再生を録音し、内容理解の分析を行うこととした。 2013年度は、眼球運動の記録・分析に関しては、各学習者の各文章(2種)について、読み始めと読み終わりのデータのログ付け(印付け)がすべて終了し、さらに統計基礎データ、注視時間のデータ解析を約4分の1を終えた段階である。3.3ミリ秒を1単位とする8万以上の行のデータ記録から、読み所要時間、注視箇所と注視時間、跳躍箇所(サッカード)を計算全体及ページに分けたデータ集計、分析が進行中である。また、各協力者の読解後の自由再生については、文字起こし作業が終了し、具体的な内容理解に関する分析に着手した。 さらに、多読に関する先行文献により、多読方法の違いに基づく分類を行った。その上で、日本語教育における多読学習をシステムとして捉えるため、多読授業での授業スケジュール及び多読の活動の時系列に沿った記録を作成、多読活動に対する学習者の反応と変化の記録も合わせて示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査実施時に3.3ミリ秒単位で眼球運動の記録が可能な機器を使用し、データ総量が非常に大きくなる一方で、これまでに捕捉できなかった非常に短い注視が捉えられるようになり、データの精度が格段に向上した。 協力者延べ87名、文章読解データ累計174名分のデータ整理・分析に耐えられるPC機器が限られていること、眼球運動測定・分析用のソフトを同時に複数使用可能な設定となっていないことから、データ整理、分析に時間がかかるが、2013年度調査のデータ分析は、2014年度前半に終えることができる見通しである。
|
Strategy for Future Research Activity |
2014年度は、主に以下の1)~4)に焦点を当てて研究を進める。 1)2013年度調査による文章読解データ累計174名分のデータ整理・分析(自由再生による内容理解の程度、読解所要時間、注視位置、注視時間)を行い、①学期初めと終わり、②学習者特性(例 漢字系・非漢字系の別)といった要因との関連を調べる 2)多読及び読解、測定方法に関する文献調査を行う 3)いくつかの多読の授業パターンを明示し、学習者の内部要因との関連づけを行う 4)追加で必要となる読解の調査を行う 2015年度は2013年度からの調査結果をまとめ、多読による読みの変化の明示、多読を学習者の特性と関連づけた「多読モデル(仮称)」の提案を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)2013年度後期に研究代表者が得た特別研修の研究支援費を眼球運動記録の機器の1回分のレンタル費用に充てることができたこと、2)調査の旅費を使用せず、研究会などでの情報交換を行ったこと、から次年度使用額が生じた。 データ分析に時間、労力がかかることが見込まれるため、謝金に充てることを計画している。
|
Research Products
(3 results)