2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370580
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
鈴木 美加 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 准教授 (90226556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊田 道子 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 研究員 (20711683)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 多読 / Extensive Reading / 日本語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度には、(1)調査(読解実験)とその分析、(2)多読を取り入れた授業内容と学習者の変化の記述、を主に実施した。 調査では、2013年度調査に加え、学期開始期49名、終了期31名の学習者の読解中の眼球運動の記録と読後の自由再生データを収集した。2013年度の学期開始期と終了期の比較から、①文章の種類により読解所要時間、注視時間の長さが異なるが、注視が多くなる部分の特徴として、文章開始あるいはストーリーの転換が起こる箇所であること、②学習者の自由再生については、開始期より終了期に量が多くなり、さらに一貫性が見られる記述が増えること、③レベル(中級の前半、半ば、中上級レベル)が上がると読解所要時間、注視合計時間も短くなる、という結果が得られている。中級学習者の中でもその段階ごとに分けて学習を捉えることが妥当であることが分析結果からも示された。また、④読解授業と学習者の変化の記述から、数回多読活動を行った後で、言語面、心理面における読みへの慣れ・適応、集中の程度の高まり、が起こっていると認められることがわかった。 現在の課題としては、①2014年度は2013年度データの処理、全体としての分析を行うことができたが、データ記録機器の制約から、4名ほど注視位置の記録ができていないデータがあり、分析の正確性を期すため、2014年度データの分析を進めながら、必要であれば追加調査を行うことも検討する必要がある、②1つの文章の読解データで125MBあるものもあり、35万行を超える。詳細な分析を行う際、さらにデータ処理時の操作方法についても十分な情報を得て進める必要がある、といった点が挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①膨大なデータの処理、眼球運動記録・分析システムソフト及び機器の使用にさらに習熟することが必要であり、他業務を行いながらの処理に時間を要していること、②データ収集・入力・処理の作業を行うことのできる教務補佐の継続的な雇用が困難であり、実験期間中に十全な対応ができなかったこと、またデータ処理の作業がやや遅れていること、といった点が挙げられる。 2014年度に行ったデータ処理、分析は最終年度である2015年度に行う。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は主に、以下の1)から4)を実施し、研究を進め、まとめを行う。 1)これまでに得たデータの処理、分析を行う。必要であれば、追加の調査、分析を行う。 分析の際に、学習レベル、学習者の特性(例 漢字系・非漢字系の別)の要因も併せて検討する。 2)これまでの多読に関する研究を参考に、多読の授業をいくつかのパターンに分け、学習者の要因との関連づけを試みる。 3)多読による読みの変化、学習者の特性と関連づけた「多読モデル(仮称)」の提案を行う。
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Causes of Carryover |
1)学会発表の旅費が、①都内近郊の会場、あるいはほかの研究費による支出を行ったため、低額で済んだこと、②教務補佐の個人の事情により勤務ができなくなったことによる新規補佐雇用までしばらくの期間があったことと、勤務可能日が予定より少なかったこと、の2点により、当該年度の支出が当初予定より少なかった。また、③実験機器のレンタルを当初予定より数日長くしたことにより、「その他」の経費が予定より増えた。これら3点により、全体として支出合計総額が当初予定より減った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度に計画していた予定に加え、2014年度データの処理を2015年度に引き続き行う。大量のデータの分析に時間を要するため、教務補佐雇用を予定より増やし、データ入力、処理も進め、研究代表者、分担者とともに研究を進める予定である。
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Research Products
(7 results)