2013 Fiscal Year Research-status Report
日本語学習者の言語行動のバリエーション獲得に関する研究
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25370582
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
谷部 弘子 東京学芸大学, 留学生センター, 教授 (30227045)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本語非母語話者 / 自然談話 / バリエーション / 日本語環境 / 認知的変容 |
Research Abstract |
本研究は、非日本語環境で学んだ日本語学習者の使用する日本語バリエーションの実態を明らかにするとともに、日本語学習者の言語行動のバリエーションに対する認知的視点の変容の過程を探り、記述することを目的とするものである。具体的には、非日本語環境で日本語を習得した学習者を対象に、来日直後と1年後の自然談話データを収集し、同一話者による言語行動のバリエーションという観点から日本語習得状況について縦断的な調査を行う。同時に、上記の調査協力者に半構造化インタビューを実施し、自身の日本語や日本語母語話者の言語行動のバリエーションに対する意識とその変容について分析・考察する。 平成25年度は、研究実施計画に基づき、以下の調査および作業を行った。 (1)調査1(第1回):自身や日本語母語話者の日本語に対する意識について半構造化インタビューを行った。調査協力者は、東京都内のA大学と地方のB大学の日本語日本文化研修生および交換留学生18名と地方のC大学の学部正規生11名で、出身地は漢字圏(中国・韓国・台湾)12名、非漢字圏(ベトナム・タイ、欧米)21名である。来日前の学習歴は最も短い者で半年、長い者で12年となっている。 (2)調査2(第1回):上記(1)の協力者に、A大学とB大学は、母語話者との会話(接触場面)・学習者同士の会話(学習者場面)という2場面、各15~30分、C大学は、同年代の母語話者との会話(同年接触場面)・年上の母語話者(年上接触場面)との会話という2場面、各30分の自然談話を録音してもらった。 (3)上記(2)の録音データについて、第1次文字化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度内に予定していた第1回目の調査(談話データの収集とインタビュー調査)は、予定を越える日本語学習者の協力を得て、おおむね順調に実施することができた。録音データの一部にこちらの依頼内容や依頼時間と異なるデータがあったり、インタビュー調査で十分な内省発話が得られなかった協力者もいたりしたが、それらを除いても、第2回目の調査実施に基本的に支障はないと考えている。談話データの第1次文字化も終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度、平成27年度とも、当初の計画に大きな変更はなく、予定通り計画を実施する予定である。本研究で主たる対象者とした日本語日本文化研修留学生は、平成26年度10月に新たな留学生が来日するため、平成25年度に収集した協力者データと比較し、より適切な対象者がいれば、さらに協力を依頼し、収集データの総体的な質を高めたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由は主に以下の2点である。 (1)協力者謝金:調査は、同一協力者に対し、来日直後と帰国直前の2回に分けて行うものである。当初、2回分の謝金を平成25年度経費に組み込んでいたが、第2回目の謝金支払いは、実際の調査時期に合わせて、平成26年度に支払うこととした。なお、調査協力者が当初予定より増えたため、その分については、専門的知識の供与として計上していた額を減額した。 (2)旅費:平成25年11月に国際シンポジウム参加と情報収集のための海外出張(中国・北京)を予定していたが、主催者側の事情により平成26年4月に延期となったため、旅費支出額が当初の予定額を下回った。 (1)協力者謝金:前年度の調査協力者に対し、第2回目の調査謝金を支払う。また、分析に当たって必要な専門的知識の供与を得るための謝金を計上した。 (2)旅費:平成26年7月にオーストラリア・シドニーで開催される国際シンポジウムでの発表が確定したため、その海外旅費と、研究打合せのための国内旅費を計上した。 (3)その他:第2回目調査によって得られた録音データの第1次文字化を行うために必要な経費を計上した。
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Research Products
(1 results)