2015 Fiscal Year Research-status Report
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25370601
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
元田 静 東海大学, 国際教育センター, 准教授 (40349428)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 参加の動機づけ / 協働学習 / アドラー心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、協働学習における参加者の「参加の動機づけ」に着目し、その現象を明らかにすること、および参加者の動機づけを高めるための手立てを探ることを目的としている。 平成27年度は育児休暇からの復帰が年度途中であったため、研究実施期間はほぼ半年であった。今年度は3種類の授業を研究の対象とした。1つは、平成25年度に引き続き上級読解の授業を対象としたものであった。小グループによる読解活動を継時的に行い、授業中の観察、コース終了時のアンケートおよびインタビューによって、参加の動機づけに関する新たなデータを収集した。現在、データを分析中である。 2つ目は、別科日本語研修課程の初級日本語学習者を対象とした授業であった。参加の動機づけを高めるための観点として新たにアドラー心理学に着目し、その思想を取り入れた方策を実施した。アドラー心理学では、共同体感覚と勇気づけを最も重視している。その考え方に基づいて、定期的にクラス会議を行い、コミュニティ全体による支え合いの風土づくりを目指した。また、個別の学習者への対応においてもアドラー心理学の考え方を参考にした。その結果、コース終了時のアンケートとインビューから、学習者のクラスへの所属感が高まり、クラスに不参加気味であった学習者の参加が促されたことがうかがえた。 3つ目は、学部留学生を対象とした日本語の授業であった。アドラー心理学に加え、CLIL(内容言語統合型学習)にも着目し、学習者が有意義であると感じられるような内容を扱うことにより、参加の動機づけを高める工夫を行った。その結果、授業に不参加気味の学習者が徐々に参加していく過程が観察された。現在、データを分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、参加の動機づけに深く関わるアドラー心理学に着目し、その思想を取り入れた教育を実施することによって、多くの可能性や課題が見つかった。ただし、平成27年度は育児休暇からの復帰が年度途中であったため、データの分析に十分な時間が取れなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに収集したデータの分析を行い、参加の動機づけの現象を明らかにすることを第一の目標とする。次の段階では、いくつかの現象をカテゴリー化し、実際の教育に役立つ視点を明示化し、これまでの研究をまとめることを目標とする。
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Causes of Carryover |
研究復帰が年度途中であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
資料収集・成果発表の旅費、および図書等の物品費に使用する予定である。
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