2015 Fiscal Year Research-status Report
日本語教員養成課程修了生の社会貢献とグローバル人材育成に関する構造化研究
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25370607
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
中川 良雄 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (30261043)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本語教員養成 / 社会貢献 / グローバル人材 / コミュニケーション能力 / 異文化調整能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本語教員養成課程修了生の多くは、入学時より日本語教員を志望し、入学後も勉学に勤しんでいると言える。日本語教員を志望したきっかけはどうであれ、他の専攻に比してかなり職業意識を強く抱いたまま、学びを受容して深めていく。ある場合には、やや期待に反することはあっても、当初の目標を見失うことはない。 修了後、日本語教員に就かずとも、上記のようにして獲得された資質や能力は、本人は自覚していなくとも、目に見えざる部分で発揮され、「人間性」「コミュニケーション能力」「日本語能力」などとして発動される。また修了後すぐ日本語教員に就かなくても、近い未来において、日本語教育の知見は、社会に還元され、グローバル人材として活躍できる舞台が広がってくるはずである。 日本語教員養成課程修了生には、日本語教育経験をアイデンティティとして、さらに自らの能力に磨きをかけ、社会で活躍できる人材と変容していくことが期待されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査研究は、概ね当初の計画通りに遂行したものと思われるが、次の理由により、調査の見送り、あるいは計画の見直しが行われた。 1 世界各地で発生したテロ、天変異変、大気汚染等により海外での調査が見送られたこと。調査はもとより、海外学会での発表が中止、参加断念せざるを得ない状況にあった。 2 調査協力者(インタビューイー等)の確保が難しく、インタビュー時間の調整が難しかったこと。また、調査者の健康上の理由や雑務等により、調査計画の見直しを迫られたこと。 上記理由により予算を余す(796,786円)ことになったが、上記不足点を補うべく、平成28年度の調査研究を継続遂行したい。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題に関する調査研究を継続し、日本語教員養成課程修了生、ひいては日本語教員・日本語教育の社会貢献について、著述を進める。数多くの事例を収集し、日本語教育が社会貢献につながること、そして日本語教育人がグローバル人材として、日本の国際化に貢献しうることを実証する。情宣活動を通じて、日本語教育人口を増やすとともに、日本の国際化には日本語教育への理解が欠かせぬものであることを理解せしめる。 ネイティブ/ノンネイティブ教員の連携・協働による優れた日本語授業の構築に関する研究。日本語教員養成課程の修了生が海外で日本語教育に就く場合、ノンネイティブ教員との連携・協働作業が不可欠となる。海外で働く日本語教員がグローバル人材として活躍していくためには、どんな資質や能力が必要であるか調査研究を進め、日本語教員養成に還元する。 ネイティブ/ノンネイティブ教員の役割分担として、それぞれどんな教室活動を展開しているか。教員の役割観を調査することは、日本語教員養成の重要なテーマとなり、望まれる日本語教員像のモデル構築が可能となる。 上記のごとく、日本語教員養成を主たる課題として調査研究を続行する。
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Causes of Carryover |
2016年度に796,786円を繰り越すことになったが、その理由として、研究年度中に世界各地で発生したテロへの恐怖から海外調査が見送られたこと、及びそれに伴う海外学会での発表が控えられたことが挙げられる。アンケート調査の実施国が大幅に制限されたことは大きな痛手となった。 また国内での調査協力者の確保も難しく、インタビュー調査に出向く機会も減少せざるを得ない状況にあった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年9月開催予定の「日本語教育世界大会」(於インドネシア・バリ)にて2本の口頭発表が採択されている。 2016年秋開催の「中国日語教学研究会年会」にて口頭発表を予定。また中国広州市及び西安市において、日本語教員の社会貢献に関するインタビュー調査を実施計画中である。
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